2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己複製機能を持つインテリジェントロタキサン分子の創製
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19750035
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩本 啓 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 助教 (80304393)
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Keywords | ロタキサン分子 / 自己複製 / 多点水素結合 / オレフィンメタセシス |
Research Abstract |
本研究は、ナノスケールの分子デバイスや分子スイッチへの展開、新規な材料としての応用が期待されているロタキサン分子にDNAが持つような自己複製能を導入することで、効率的なロタキサン分子の合成法確立を目指している。研究期間の1年目である昨年度は、自己認識部位を有する鋳型分子の合成と、合成した鋳型分子の溶液中における会合挙動について検討した。得られた結果を踏まえ、本年度は新たな認識部位をデザインし、新しい鋳型分子の合成を検討した。 1. 多点水素結合を利用して二量化する分子を認識部位として新たにデザインし、合成した。研究初年度の結果より、鋳型分子には互いに相互作用を持たないが、自分自身では相補的な対を形成する二つの認識部位を導入することが必要となることが明らかとなった。そこで、2種類の、多点水素結合の様式が異なる認識部位を合成した。合成した2種類の認識部位の溶液中における会合挙動を1H-NMRを用いて解析した。その結果、この2種類の認識部位は自分自身で会合・二量化をし、互いに相互作用を持たないことが明らかとなった。 2. 鋳型分子の母骨格となる[3]ロタキサンの環状分子上に認識部位の導入を検討した。[3]ロタキサンの二つの環状分子に、1で合成した2種類の認識部位をエステル結合を介して段階的に導入しようと試みた。しかし同じ認識部位が導入された[3]ロタキサンのみが得られ、現時点では[3]ロタキサンに異なる認識部位を導入することは達成できていない。
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