2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750036
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
戸叶 基樹 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 助教 (80372754)
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Keywords | ポルフイリン / 近赤外色素 / レニウム錯体 / 触媒反応 |
Research Abstract |
今年度は骨格融合法を用いた新規近赤外色素の合成、およびそれらを配位子とする遷移金属錯体の合成を実施した。また、色素の基本的光学特性の測定や、骨格融合により得られる特性を活かした触媒への展開についても研究を実施した。 近赤外色素の合成においては、N-フユーズサフィリンの合成に成功した。また、レニウム錯化によりメソ位のアリール基部位も骨格融合を起こし、ドミノフユーズサフィリンが得られる事を見いだした。一方、光学特性の改善を目的とし、N-フユーズサフィリンの様々な化学修飾法の開発を開発した。具体的には、鈴木カップリング、Stilleカップリング、薗頭カップリングなどについて、N-フユーズポルフィリンにおいて適用可能な反応条件をそれぞれ見いだす事に成功した。その他、アシル化、ニトロ化、ホルミル化など一般的な芳香族置換反応が適用可能である事も確認した。合成した近赤外色素について、吸収スペクトル、発光スペクトルなどの基礎的データは測定済みであり、現在共同研究の形式で発光寿命や過渡吸収などの測定を進めている。 骨格融合法の一般化を目指し、エテノ架橋N-混乱ポルフィリンの合成を行った。N-混乱ポルフィリンとN-フユーズポルフィリンの相互変換を行う事で、種々の内部置換N-混乱ポルフィリンを合成し、その中でエチニル置換のものについては骨格融合反応が進行し、エテノ架橋N-混乱ポルフィリンが得られた。種々の測定、理論計算の結果、エテノ架橋によりHOMOのエネルギーレベルが劇的に上昇することが分かり、骨格融合法の一般性が実証された。 これまでの検討により、骨格融合種を配位子として用いた場合、イオン半径の小さい高原子価の金属錯体が安定に得られるという知見が得られている。そこで、この特性を活かした触媒反応の検討を行ったところ、ピリジンN-オキシドの還元反応に極めて有効であることを見いだし、340000という高いターンオーバー数を実現した。
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