2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750037
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
分島 亮 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (10292046)
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Keywords | 金属リッチテルライド / 電子物性 / パウリ常磁性 / 電気伝導性 |
Research Abstract |
擬一次元構造を有する3元系金属リッチテルライドPd_2NiTe_2の合成に成功し、結晶構造を決定した。この化合物はK_2ZnO_2型の構造をもち、NiにTeが4配位したNiTe_4四面体が稜共有した一次元鎖を形成する。この一次元鎖は、Ni-Ni結合が短いことから、Ni間に金属一金属結合が働き、一次元固有の電気伝導性などを示すことが期待される。 そこで、電気伝導性、磁化、比熱測定を行い、この化合物が金属的でPauli常磁性を示すことを明らかにした。さらに、Rietveld解析によって得られた結晶構造パラメータを用いて電子構造計算も行い、上記の物性測定の結果について評価を行ったところ、3次元的なFermi面をもち、伝導電子間に弱い電子-電子相互作用が働いていることが明らかとなった。 また、電子構造計算より求まった電荷密度分布から、金属-テルル間、金属-金属間の結合性について評価したところ、一次元鎖を形成しているNiTe_4四面体間には、Ni-Niに金属結合が存在していることを明らかにし、Pd-Pd結合は極めて弱く、Pd間の金属一金属結合は殆ど消失していることを明らかにした。この成果については、平成20年度に日本セラミックス協会の欧文誌に投稿し、掲載された。
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