2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750039
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
志賀 拓也 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (00375411)
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Keywords | 単一次元鎖磁石 / キラリティー / 非線形光学応答 / 量子効果 / 基底高スピン錯体 / シアン架橋多核錯体 |
Research Abstract |
本研究ではキラル単一次元鎖磁石の磁気・光学・量子効果の観測を目的とし、キラル単一次元鎖磁石の合成法の確立と磁気的相互作用の制御を行った。これまでに本研究では、自然分晶を利用した合成手法によって、架橋能を有するマンガン三核錯体(Et_3NH)[Mn_3(μ_3-0)(5-Cl-salox)_3Cl_2(MeOH)_2(H_2O)_2](H_2(5-Cl-salox)=5-chrolosalicylaldoxym)を単離しておき、銅イオンとの置換反応を行うことで、マンガンー銅ヘテロ金属一次元鎖錯体[Mn_2Cu(μ_3-0)((5-Cl-salox)_3(EtOH)_2)の合成に成功している。この化合物では反強磁性的に相互作用したMn_2Cu三核ユニットが6回らせん軸を持って一次元的に連結されており、ユニット間に強磁性的相互作用が働くことで、単一次元鎖磁石としての性質を示していることがわかっている。キラリティーと量子磁性の相関が期待されるため、CDスペクトルの測定を行ったところ、ラセミ混合物として得られるため、光学活性を示さないことが分かった。 より合理的なキラル一次元錯体の合成を目指して、キラルな配位子とポリシアノ鉄酸イオンをもちいた集積型金属錯体の合成を行った。ホモキラルなM_6M'_4キラルかご状錯体(M=Ni^<II>, Co^<II> ; M'=Fe^<III>, Co^<III>)、Ni_2Fe_2Square状錯体、およびCo5Fe4錯体を得た。これらの錯体の磁化率測定結果から、Ni6Fe4錯体およびNi2Fe2錯体では強磁性的相互作用が働いており、それぞれS=8およびs=3の基底高スピン錯体であることが分かった。また、Co6Fe4錯体では溶媒依存したCTIST挙動が示唆された。
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