2008 Fiscal Year Annual Research Report
二価クロムヤーン・テラーイオンを含む新しいタイプの複合硫化物の創製とその物性評価
Project/Area Number |
19750040
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
手塚 慶太郎 Utsunomiya University, 工学研究科, 助教 (00334079)
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Keywords | ヤーン・テラー / クロム / 硫化物 / 結晶構造 / 電磁気的性質 / 固溶体 |
Research Abstract |
本研究の大きな目的の一つは, 新規化合物であるLu_2Cr^<II>S_4の詳細な結晶構造を決定することである。昨年度末に直接法の構造解析プログラムExpo2004を用いて, 結晶構造モデルを明らかにすることができた。今年度はこの構造モデルを使って, 粉末X線回折データのRietveld解析を行い, 結晶構造の精密化に成功した。さらに, JAEAで中性子回折データの測定を行い, このデータについても同じ構造モデルでRietveld解析による構造の精密化ができたので, この構造モデルの正しさを裏付けることができた。 本研究のもう一つの目的として, Lu_2CrS_4の元素置換や固溶の可能性についての検討がある。昨年度は, Mn^<II>Sの固溶にある程度成功し, 固溶のさせかたで磁気的性質が大きく変化することが分かった。今年度は, Ni^<II>SとFe^<II>Sについて検討を行った。その結果, FeSとNiSの両方である程度固溶することが分かり, その範囲を明らかにすることができた。それぞれの化合物のRietveld解析を行ったところ, それぞれ, 固溶割合が増えるに伴い, MnSの場合と同様に, ヤーン・テラー歪みが大きく緩和される傾向があることを見いだした。金属イオンのイオン半径は近いにもかかわらず, MnS, FeS, Nisの順番で固溶・置換の範囲が狭くなる傾向が見られた。 さらに, 陰イオンをN^<3->での置換も試みたが, これまでのところ置換できていない。また, 新しい物性として, Lu_2Cr^<II>S_4について光触媒反応をキセノンランプ照射によるメタノールの分解について検討を行ったところ, 水素の発生を確認し, 活性があることを見いだした。
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Research Products
(1 results)