2008 Fiscal Year Annual Research Report
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19750041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 宗太 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (40401129)
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Keywords | 自己集合性金属錯体 / 包接 / タンパク質 / 球状錯体 / パラジウム / 同位体標識 / HSQC / 立体構造 |
Research Abstract |
本研究では、遷移金属イオンと有機配位子とからなる球状錯体内部にタンパク質を丸ごと閉じ込める合成手法を探索する。従来、様々な有機小分子を中空金属錯体に閉じ込めることにより特異な構造を誘起し、特異な物性の発現・特異反応が見いだされてきた。同様にして、金属錯体に包接した生体分子においても、全く新しい構造生物学的知見を見いだすことができると考えられる。 本年度、76残基のアミノ酸から構成される比較的小さいタンパク質であるユビキチンを内包した錯体の内部において、タンパク質の3次元立体構造を溶液NMRを使って明らかにすることを検討した。まず、非特異的^<15>N標識化ユビキチンの調製を行った。次に、このユビキチンを有機配位子に導入し、タンパク質を化学修飾していない配位子と混合してパラジウムイオン(II)に作用させることで、M_<12>L_<24>球状錯体の内部にユビキチンを内包させた。 次に、この非特異的^<15>N標識化ユビキチン内包錯体の、^1H-{^<15>N} HSQC NMR測定を行い、共有結合を1つ隔てた^1H核と^<15>N核との相関信号を2次元NMRスペクトル上に観測することで、アミドプロトンおよびアミド窒素の化学シフト瞳を決定し、錯体内部でのユビキチンの立体構造情報を得ることを検討した。その結果、天然状態めユビキチンの立体構造は保持されていないものの、部分的にタンパク質の立体構造が保持されたモルテングロビュール状態をとっていることが明らかになった。
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