2008 Fiscal Year Annual Research Report
直鎖三核白金を含む有機リン化合物を新しいメタラリガンドとして用いる多核錯体合成
Project/Area Number |
19750043
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田邊 真 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 助教 (80376962)
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Keywords | 白金 / メタラリガンド / 有機リン化合物 / 多核錯体 / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
本研究では, 配位サイトをもつ多核白金錯体を錯体配位子(メタラリガンド)に利用して, 異なる金属錯体との反応から新しい多核金属錯体を簡便に合成する方法を見出すことにある. 多核メタラリガンドの合成を確立するために, 二級リン配位子を持つ単核白金錯体を多数合成し, その熱分解反応を検討した. 芳香族リン配位子をもつ白金錯体は, 白金にホスフィド配位子が連続的に橋架けするメタロポリマーを与えた. 脂肪族リン配位子の場合, 従来から知られる環状三核錯体を与えた. 本研究の対象となる屈曲型三核白金錯体は, ターシャルブチル基のような嵩高い配位子を持つ場合のみ選択的に合成できることが明らかになった. 3つの白金と結合するホスフィニジン配位子は配位不飽和度が高く, かつ, ローンペアを持つため, これが他の遷移金属へ配位することが可能である. 分子軌道計算の結果, リン原子上に非結合性軌道が存在し, 配位サイトとして機能することが示唆される. 電子豊富な白金三核と結合するホスフィニジン配位子は特異な電子状態にあるため, P-C結合の活性化反応が観測された. その結果, リン原子を中心に周囲に5つの白金が同一平面に存在する前例のない五角型構造を持つ白金クラスターを与える反応が見出された. 特に, 中心のリン原子の上下には新たな分子配位サイトが存在するため, これをメタラリガンドとして利用することも可能である. 今後の研究に新しい展開が期待される.
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