2007 Fiscal Year Annual Research Report
フェロセンの酸化還元を利用した有機金属ロタキサンの分子運動と発光挙動の制御
Project/Area Number |
19750044
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
須崎 裕司 Tokyo Institute of Technology, 資源化学研究所, 助教 (70436707)
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Keywords | ロタキサン / フェロセン / クラウンエーテル |
Research Abstract |
フェロセニレン部分を骨格内部に含むクラウンエーテルを合成した。合成したクラウンエーテルはフェロセンの二つのシクロペンタジエニル環を8つの酸素を含む22個の元素で接続した構造を有しており、24員環のクラウンエーテルと同等の内孔サイズを有する。合成したクラウンエーテルの溶液中での挙動を調べたところ、クロロホルムなどの比較的極性の低い溶媒中で、ナトリウムイオンを包接することがわかった。また、二級ジアルキルアンモニウム塩と溶液中で混合すると、擬ロタキサンを形成することもわかった。ルテニウムカルベン錯体を用いて、末端オレフィン部分を有する二級アンモニウム塩とビニルアクリレートとのクロスメタセシス反応を、この含フェロセンクラウンエーテル存在下でおこなうと、クラウンエーテルがアンモニウム部分を包接した[2]ロタキサンが得られることがわかった。このロタキサンは高速液体クロマトグラフィーによって単離することが可能であり、その構造は各種核磁気共鳴スペクトル、元素分析、質量分析によって決定することができた。サイクリックボルタンメトリーによって、これら含フェロセン化合物の電気化学的な性質を評価したところ、含フェロセンクラウンエーテルは、鉄部分に由来する一段階の可逆な酸化還元特性を有することがわかった。なおかつその酸化還元電位はクラウンエーテル単独の場合と、ロタキサンを形成した場合では異なり、ロタキサン内部においては、軸状分子内部の正電荷との反発をおこして、その酸化還元電位がより正電位側に観測された。
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