2008 Fiscal Year Annual Research Report
共役したポルフィリンとフタロシアニン多量体の合成と三次元非線形材料への応用
Project/Area Number |
19750047
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
池上 崇久 Shimane University, 総合理工学部, 助教 (00379033)
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Keywords | フタロシアニン / ポルフィリン / 共役 / 光触媒反応 / 二光子吸収材料 / 三次元非線形材料 |
Research Abstract |
平成19年度は、共役フタロシアニン二量体のそれぞれの周辺置換基を変化させることによって非線形分極を有する二量体の合成を試み、フタロシアニン環の周辺に嵩高い置換基を導入することにより、安定で有機溶媒に可溶な共役フタロシアニンの合成に成功した。平成20年度は、平成19年度から合成を試みているテトラアザポルフィリンとサブフタロシアニンとコロラジンを用いた共役二核錯体の合成を試みた。また、共役ポルフィリン-フタロシアニン多量谷の合成の検討を行っているが、現時点では、その前駆体の合成まで成功しているが目的物の合成とその同定に至っていない。平成20年度は、この共役フタロシアニン二量体の二光子吸収特性について詳細に検討した。共役フタロシアニン二量体は、PDTの光増感剤として非常に有望であることが確認できたため、実用化への応用を模索した。また、共役フタロシアニン二量体には、800〜900nmに非常に大きな吸収を持つため、フタロシアニン同士が共役していることが確認され、目的とする近赤外領域を用いたフォトダイナミックセラピーにとって非常に適切な化合物であることが判った。さらに、二核フタロシアニンに種々の金属を導入し、それぞれの錯体の物性を調べた。PDTの光増感剤としての可能性を調べるために、780〜950nmの光を用いて、亜鉛錯体、パラジウム錯体を用いて、光触媒能の検討を行った。その結果、DPBFの非常にスムーズな分解が進行したことから、これらは近赤外領域の光を用いた光触媒としての能力を有することが判った。近赤外領域のみでの光触媒能を示す化合物は、非常に珍しく、共役フタロシアニン二量体としての新規特性を発見した。また、非常に大きな二光子吸収特性を有することも確かめられ、新しいメカニズムでの光触媒反応が起きている可能性が示唆される。
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