2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポアを有するイリジウムポルフィリン集積体を用いた水中二酸化炭素還元触媒の開発
Project/Area Number |
19750049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原田 了輔 Kyushu University, 未来化学創造センター, 助教 (50423570)
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Keywords | ナノ材料 / 超分子化学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、イリジウムポルフィリン錯体のナノ構造体を利用した、水中で水素ガスを還元剤として還元反応を行う、水中ガス変換触媒系を構築することである。平成20年度は、(1)イリジウムポルフィリン錯体の合成、(2)ポルフィリンを用いたナノ構造体の構築、(3)水素ガスを還元剤として用いるための水中での水素分子の活性化、に関して前年度からさらに発展させる形で研究を行った。(1)イリジウムポルフィリン錯体の合成では、水溶性ポルフィリン配位子を用いることで、水溶性のイリジウムポルフィリン錯体を初めて合成し、独自の手法を用いて単結晶化に成功、X線結晶構造解析によりその構造を明らかにした。(2)ポルフィリンを用いたナノ構造体の構築では、大きな歪みを持つポルフィリンにより形成されるナノポア構造に、ゲスト分子を取り込ませることに成功した。酸化還元活性なゲスト分子を取り込んだナノ構造体に光照射を行うことで、ゲスト分子との電子の授受が可能であることがわかった。これらの結果により、ポルフィリンにより構築されたナノポア内に、水素や二酸化炭素等の小分子を取り込むことができ、酸化還元反応を行えることが示された。また、大きな歪みを持つポルフィリン錯体に、ゲスト分子が配位することが想定されるが、そのような歪んだポルフィリン錯体の配位挙動に関する知見を得ることにも成功した(Eur. J. Inorg. Chem. 2009, 6, 727-734)。(3)水素ガスを還元剤として用いるための水中での水素分子の活性化では、水溶性の複核金属錯体を用いて、水中・常温・常圧での水素分子の活性化に成功した。(1)で合成した水溶性イリジウムポルフィリン錯体においても、水中・常温・常圧で水素分子との反応が進行することを確認することができた。
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