2007 Fiscal Year Annual Research Report
希土類多核錯体の協同効果を利用する分子変換反応の開発
Project/Area Number |
19750053
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西浦 正芳 The Institute of Physical and Chemical Research, 侯有機金属化学研究室, 研究員 (30332258)
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Keywords | 希土類 / アルキル錯体 / ヒドリド錯体 / スチレン / 重合 / アニオン性錯体 / アジド / ピロリル配位子 |
Research Abstract |
本年度は、重合反応における配位子の効果を比較する目的で、Cp配位子と等電子構造を持ち、5員環内に窒素原子を含むピロリル配位子を有する新規希土類ビスベンジル錯体を合成した。嵩高い置換基であるt一ブチル基を有する錯体(2,5-tBu_2C_4H_2N)Ln(CH_2C_6H_4NMe_2-o)_2(Ln=Sc(1),Y(2),La(3))においてピロリル配位子は金属に対してシクロペンタジエニル配位子と同様にπ配位しているが、テトラメチルピロリル配位子を有するスカンジウム錯体(C_4Me_4N)Sc(CH_2C_6H_4NMe_2)_2(4)はσ配位しており、ピロリル上の置換基により配位様式が異なることが明らかとなった。錯体1に対して1当量の[Ph_3C][B(C_6F_5)_4]を反応させることによりカチオン性錯体が得られた。この錯体にジメトキシエタンを加えたところ、単結晶が得られピロリル配位子を有するカチオン性アルキル錯体のX線構造解析に初めて成功した。錯体1-4をカチオン性錯体へ変換してスチレンの重合反応を検討したところ、η^5のピロリル錯体は高い活性を示すが、η^1のピロリル錯体では反応が進行せず、ピロリル配位子の配位様式の差が重合反応に大きな影響を与えることを初めて明らかにした。 一方、希土類ポリヒドリド錯体[(Me_3SiC_5Me_4)_4Ln_4H_8]に1当量のトリメチルシリルリチウムを反応させた後、水素と反応させたところアニオン性のポリヒドリド錯体[Li(thf)_4][(Me_3SiC_5Me_4)_4Ln_4H_9](Lh=Sc, Y, Lu)の合成に成功した。トリメチルシリルアジドと反応させたところ、中性のヒドリド錯体ではSi-N結合の切断反応が起こり、アニオン性ヒドリド錯体ではN-N結合の切断がおこり中性錯体とアニオン性錯体では異なる反応性を示すことが明らかとなった。
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