2008 Fiscal Year Annual Research Report
希土類多核錯体の協同効果を利用する分子変換反応の開発
Project/Area Number |
19750053
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西浦 正芳 The Institute of Physical and Chemical Research, 侯有機金属化学研究室, 研究員 (30332258)
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Keywords | 希土類 / ピロリル配位子 / アセチリド錯体 / フォスフォリル配位子 / スチレン / イソシアニド / 末端アルキン / クロスカップリング反応 |
Research Abstract |
本年度は、重合反応における配位子の効果を比較する目的で、Cp配位子と等電子構造を持ち、5員環内にリン原子や窒素原子を含む配位子を有する新規希土類ビスベンジル錯体を合成した。テトラメチルフォスフォリル配位子を有するスカンジウム錯体(C_4Me_4P)Sc(CH_2C_6H_4NMe_<2-0>)_2においてフォスフォリル配位子は金属に対してシクロペンタジエニル配位子と同様にπ配位しているが、テトラメチルピロリル配位子を有するスカンジウム錯体(C_4Me_4N)Sc(CH_2C_6H_4NMe_2)_2はσ配位しており、ヘテロ原子の違いにより配位様式が異なることが明らかとなった。これらの錯体をカチオン性錯体へ変換してスチレンの重合反応を検討したところ、η^5のテトラメチルシクロペンタジユニル配位子とフォスフォリル配位子を有する錯体は高い活性を示すが、η^1のピロリル錯体では反応が進行せず、配位様式の差が重合反応に大きな影響を与えることを明らかにした。 一方、ハーフサンドイッチ型イットリウムアルキル錯体を触媒として用いることにより、末端アルキンとイソシアニドとの(身選択的クロスカップリング反応を初めて実現し、(z)-1-アザ-1,3-エシインの選択的合成に成功した。 この反応ではアセチリドで架橋された二核イットリウム錯体が触媒活性種として単離されており、2つの金属上で協奏的に反応が進行することにより、(z)-異性体が選択的に生成するものと考えられる。
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