2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750062
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神崎 亮 Kyushu University, 理学研究院, 助教 (50363320)
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Keywords | 溶液化学 / プロトン性イオン液体 / 酸塩基平衡 / 自己解離定数 / 両性溶媒 / 電位差滴定 / 滴定カロリメトリー |
Research Abstract |
溶融オニウム塩からなるプロトン性イオン液体(PIL)中では、両性溶媒と同様に、その酸塩基性が溶媒の性質を決定付ける因子である.しかしながら、PILの酸塩基性について定量的に議論された例はほとんどないため、今回の研究課題とした.前年度は特に、PILそのものの酸塩基性に重点を置いて調べた.得られた主な結果について述べる. 1. PIL の酸塩基性の陰イオン依存性:陽イオンとしてN-メチルイミダゾリウムを含む一連のPIL中において、化学種の酸塩基性が水溶液中を半定量的に反映することを示した.また、弱酸との塩の液体中ではイオン化が十分に進行せず、イオンと分子がほぼ半量ずつ混合したイオン液体でも分子性液体でもない新たな状態であることを示した. 2.水素結合性を有する PIL 中における酸塩基性:分子内に水酸基を持ち水素結合性を有するエチルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウムを陽イオンとして含む PIL 中では、イオンの水素結合性による陰イオンとの相互作用の強さが酸塩基性に影響を及ぼすことを示した。 以上のように、PILの酸塩基性が統括的に理解されつつあり、2008年には招待講演も行った。これらは精密な熱力学的測定から導き出された結果であるが、分光学的情報による裏づけがないため、未だ論文発表していない。したがって本年度は分光学的手法および計算化学的手法によって液体構造を明らかにする必要がある。また、前年度ではいくつかのプロトン性イオン液体の酸塩基性が分かってきたことを踏まえ、次のステップとしてイオン液体中における酸塩基反応について調べる。
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Research Products
(16 results)