2008 Fiscal Year Annual Research Report
特異な酵素反応系を利用した新規細胞内ATPモニターリングシステムの開発
Project/Area Number |
19750063
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
末田 慎二 Kyushu Institute of Technology, 大学院・情報工学研究院, 准教授 (00325581)
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Keywords | ATP検出 / ビオチン固定化酵素 / 蛍光タンパク / 蛍光共鳴エネルギー移動 |
Research Abstract |
特異なビオチン固定酵素反応を利用したATP検出システムの構築を目指し、酵素であるBPLと基質タンパクであるBCCPに関して、それぞれEGFPとEBFPとの融合タンパクを構築した。BPLはそのN末端にEGFPを導入しても酵素活性を維持しており、またビオチン化反応に伴う基質タンパクとの複合体形成能も維持していることがわかった。一方で、BCCPに関しても、EBFPとの融合体として発現させてもその基質活性を維持できることが確認できた。またBPLとBCCPの両融合タンパクの系について、蛍光発光スペクトル及び励起スペクトルを測定したところ、蛍光タンパク単独の場合と同様の発光能を有することが確認できた。両融合タンパクを混合し、ビオチン添加後の蛍光スペクトル変化を観察した。その結果、BPLとBCCP間の複合体形成反応に伴う、EBFPからEGFPへの蛍光エネルギー移動(FRET)が確認できた。この反応の温度依存性を確認したところ、室温付近でも迅速にFRETが起こり、非常に速やかにビオチン化反応が起こることがわかった。よりFRET効率の高い系の構築を目的として、BCCPとEBFPの融合タンパクに関して、その融合部位や両タンパク間をつなぐリンカーの長さについて検討を行った。その結果、リンカーの長い方がFRET効率が高く、またBCCPをEBFPのN末端に導入した方が同じく効率が高いことがわかった。一番FRET効率の高かった系に関して、様々なATP濃度条件下におけるEGFPとEBFPの蛍光強度比を測定し、ATPの検量線を作成した。その結果、少なくとも0.1μM〜10μMの濃度範囲のATPが検出可能であることがわかった。
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