2009 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素またはホウ素-炭素結合の活性化に基づく効率的分子変換法の開発
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19750071
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
堀野 良和 University of Toyama, 富山大学・理工学研究部(工学), 助教 (30447651)
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Keywords | 金触媒 / ブレンステッド酸 / アリルシラン / アリル化反応 / シラノール / クロスアルドール反応 |
Research Abstract |
光学活性3級アルコールは、不斉水素化触媒では合成できないため、触媒的不斉アルドール反応に代表される炭素-炭素結合形成反応が有効である。しかしながら、立体的に識別しにくいケトンを用いる必要があることから困難とされてきた。近年、遷移金属触媒を用いるアルドール反応代替法が活発に研究されてきているが、ほとんどが光学活性2級アルコールを対象にした方法である。ケトン-ケトンクロスアルドール反応代替法に基づいた光学活性3級アルコール構築法に関する研究は限られていた。そこで、これまでの研究成果に鑑みて(JACS, 2006, 128, 11364.)、ケトン-ケトンクロスアルドール反応代替法の簡便な合成法を目指した。金触媒存在下、求核剤として水を用い、アリルシラン骨格を分子内に有するイノンの分子内アリル化反応を検討したところ、イノンの炭素-炭素三重結合に対するアリル化反応が進行した後に、生成したシラノールがエノンへ分子内付加反応して得られた考えられるベンゾオキサシロール誘導体が良好な収率で得られてきた。本反応の最適化、ならびに反応機構について詳細に検討した結果、最初のステップが金触媒によるアルキンへのアリル化反応であり、次のステップは、金のカウンターアニオンから遊離生成するブレンステッド酸が、エノンを活性化して反応が進行していることが明らかとなった。このように、金錯体の対アニオンがブレンステッド酸触媒としても働く、金属触媒と有機分子触媒からなる2成分系触媒の開発に成功した。不斉反応については、現在も進行中であるが良好な結果を得ている。さらに、ブレンステッド酸触媒によるシラノールのイノンに対する付加反応にも成功し多大な知見を得た。本反応によって得られるベンゾオキサシロール誘導体は、玉尾酸化またはTBAFによる脱保護を行うことにより、ケトン-ケトンクロスアルドール反応生成物へ分子変換をすることができる。
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Research Products
(18 results)