2008 Fiscal Year Annual Research Report
9族金属錯体を用いる酸化剤不要のアルコール酸化触媒系の開発と合成化学的応用
Project/Area Number |
19750075
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 健一 Kyoto University, 地球環境学堂, 准教授 (80293843)
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Keywords | イリジウム触媒 / 酸化反応 / アルコール / 水素 |
Research Abstract |
本研究者は、Cp*(ペンタメチルシクロペンタジエニル)を配位子として有する9族金属(イリジウム・ロジウム)触媒の化学に注目し、研究に取り組んできた。この中で、アルコール分子の関わる水素移動型反応において、[Cp*lrCl_2]_2ならびに[Cp*RhCl_2]_2が極めて高い触媒活性を示すことを見出し、これらを触媒として活用する様々な有機合成触媒系を開発してきた。本研究課題では、新たに機能性配位子をこれらの錯体に導入し、酸化剤を必要としないアルコール酸化触媒系、すなわち脱水素的酸化触媒系の開発に取り組んでいる。 19年度までに、Cp*イリジウム錯体に2-ヒドロキシピリジンを配位子として導入することによって、第二級アルコールの脱水素的酸化反応の高活性な触媒が得られることを明らかにしてきた。本年度は、さらに高活性な触媒分子を探索することを目的とし、配位子として新たに2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルピリジン、2-ヒドロキシ-6-フェニルピリジン、2-(トリフルオロアセチルアミノ)ピリジン等を配位子として用い、新規9族金属錯体の合成、構造決定と触媒活性の調査を行った。これらのうち、2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルピリジン及び2-ヒドロキシ-6-フェニルピリジンを配位子として有するCp*イリジウム錯体は, 第二級アルコールの脱水素的酸化反応に極めて高い触媒活性を示すことが明らかとなり、p-キシレン還流下での触媒回転数は1, 000以上に達した。次年度以降は、第一級アルコールの酸化反応における触媒活性の調査へと研究展開する予定である。
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