2007 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-ヘテロ元素結合のSN2反応を鍵としたバイオマスの精密分子変換
Project/Area Number |
19750077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畠山 琢次 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (90432319)
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Keywords | 触媒・化学プロセス / バイオマス / 有機化学 |
Research Abstract |
糖及びアミノ酸誘導体の直接的精密分子変換を目的とし,高活性マグネシウムエナミドを用いた,炭素-ヘテロ原子結合のSN2置換反応の開発に着手した.エナミドの窒素上置換基,溶媒,温度,濃度など,種々の条件を検討した結果,2級のフッ化アルキル及び2級のアルキルトシラートに対するSN2反応が効率的に進行することが明らかとなった.一方で,2級のアルキルアミン誘導体を用いた場合,置換反応は進行しなかった.来年度は,炭素-窒素結合の置換反応より反応性の高いと予想されるアミノ酸誘導体を用いた検討に加え,アミノ基を活性化するルイス酸触媒を種々検討する予定である.また,既存の手法に従い糖誘導体を合成し,高活性マグネシウムエナミドによるSN2置換反応を検討する. 非対称のケトン由来のイミンより調整した金属エナミドへの検討を試みた.従来の金属エナミドとは異なり,置換基の少ないα炭素側から選択的に反応が進行することが明らかとなった.塩化アルキルよりもフッ化アルキル,1級よりも2級のハロゲン化アルキルが高い位置選択性を与えたことから,本反応ではエナミド調整における脱プロトン反応においてではなく,置換反応において選択性が決定していると考えられる.密度汎関数計算を行った結果,分子内に窒素官能基を有するマグネシウムエナミドは,THF溶媒中で単量体あるいは二量体で存在すること,またそのために高い求核性を有することが示唆された.
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