2007 Fiscal Year Annual Research Report
架橋型ヘテロ芳香族配位子を用いるベンゼン活性化触媒の創出
Project/Area Number |
19750082
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
園田 素啓 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 講師 (90314400)
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Keywords | 有機合成化学 / 機能性金属錯体 / 遷移金属触媒反応 / 不活性結合活性化 / 有機工業化学 |
Research Abstract |
本研究では,特異的な捕捉機能を有する配位子を設計することにより,ベンゼンのような不活性小分子の固定化と有機合成への利用が同時に行える機能性金属錯体の創出,ならびにそれを用いる触媒反応の確立を目的とした。配位子として取り上げたビス(ピリジルエチニル)ベンゼン誘導体は,2-クロロピリジンとトリメチルビニルシラン,続いてジョードベンゼンとの薗頭反応を段階的に行うことによって合成した。これを添加剤として,ベンゼンとアクリル酸メチル,および種々の触媒を用いてトルエン還流の条件で反応を検討した結果,触媒として酢酸パラジウムを用いた場合,アクリル酸メチルの炭素-炭素二重結合にベンゼンの炭素一水素結合が1:1で付加した型の生成物が少量得られ(単離収率2%),配位子の効果による芳香族環の炭素一水素結合の切断の可能性が示唆された。この知見(反応条件)をもとにさらなる検討を行った結果,現在のところ,以下のことを確認している。すなわち,1)一般的な溶媒,反応温度,基質の量比について条件検討を行ったが,収率の向上には至っていない,2)量論量の錯体を用いても効果はみられなかった,3)基質であるベンゼンと配位子との相互作用がより高まることが期待される配位子として,電子求引基であるフルオロ基を有する1,2,3,4-テトラフルオロー5,6-ビス(ピリジルエチニル)ベンゼンを合成したが,配位子の溶解性の大幅な低下が見られ(フルオロ基の導入によるものと考えている),パラジウムとの錯体形成を確認するには至っていない,などのことが明らかとなった。
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