2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規カルベン配位子合成を鍵とする安定2価錯体からの高活性ニッケル0価触媒の創製
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19750084
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
松原 公紀 Fukuoka University, 理学部, 准教授 (00294984)
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Keywords | 触媒設計・反応 / ニッケル(0)錯体 / ニッケル(I)錯体 / 2,6-置換アニリン / 高活性触媒 / ヘテロ環状カルベン |
Research Abstract |
本研究では、汎用性が高く、安定で利用しやすいニッケル(0)ソース開発研究の一環として、新たなカルベン配位子の構築を通じて簡便なルートでの安定な新規ニッケル(0)錯体合成および構造決定をし、安定性と共に、その触媒活性を評価する。2年目は、初年度において見出したニッケル0価錯体の新規合成法を利用し、ハロゲン化アリール類との反応を試みることで多くのニッケルを用いた触媒反応において重要となる、素反応を解明する研究を行った。その結果、予想外の結果を得た。すなわち、イソプロピル基を持つかさ高いカルベン配位子が2分子結合したニッケル0価錯体は、酸化的付加において選択的に1電子移動の結果生成する1価の15eハロゲン化錯体を与え、その構造を明らかにすることができた。またこの1価錯体は通常の2価酸化的付加錯体を経由すると言われている触媒反応を効率的に触媒することも明らかにした。一方、新規触媒反応の開拓として、フルオロアルカンの活性化反応を試みた。驚くべきことに、ニッケル錯体を加えない場合に1級〜3級フルオロアルカンはGrignard試薬のみによって活性化され、特にフェニルマグネシウムクロリドやビニルマグネシウムクロリドを用いた場合にはC-C結合形成を伴ってクロスカップリングすることを明らかにした。またニッケル錯体を加えた場合にもC-F結合の活性化反応が進行し、アルカンやアルケンを触媒的に生成することを明らかにした。現在、電子移動機構によって進行する初めての触媒的C-F結合切断反応であることを見出しており、更に有効な分子変換反応への検討を進めている。新規配位子の合成研究では、有効な配位子の発明には至らなかったが、合成の過程において新しい有機反応を見出すことができた。
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Research Products
(7 results)