2009 Fiscal Year Annual Research Report
高分子及び界面等の難認識性基質への酵素触媒糖鎖付加反応システムのデザイン
Project/Area Number |
19750086
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 厚志 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (90361138)
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Keywords | 糖鎖高分子 / 酵素触媒反応 / アマドリ転位反応 / 糖脂質 / 糖鎖修飾界面 / 包接錯体 |
Research Abstract |
これまでに酵素反応による糖ペプチドや配糖体の糖鎖合成反応は極めて多く報告されているが、酵素反応による高分子、界面、糖脂質への配糖化は困難であった。それは、酵素が高分子であるタンパク質でできているためであり、界面付近での酵素の失活や基質への近接が不可能であったり、さらに、基質可溶化のための有機溶媒等の添加により酵素が変性したりすることが原因として挙げられる。従って、以上のような特異的な環境に特化した酵素反応の反応場のデザインをする必要性があった。以下、前年度の結果を基に検討し今年度の成果を示す。 1.アマドリ転位反応の効率化に向けた条件検討 アマドリ転位反応に限らず、化学反応速度を上げる要因として反応温度が上げられる。アマドリ転位反応の場合、反応温度を高くすることにより目的とする反応の速度を上昇させることができるが、同時に副反応の速度も上昇するため、両刃の剣となる。しかしこれら副反応の促進因子として、反応溶液中に共存する微量の酸素や金属イオンが想定されていることから、これらを取り除いた条件で、かつ90℃での反応について評価した。金属イオンを取り除いた超純水と、蒸留水を反応溶媒として用いたところ、超純水の方が副生成物が少なかった。超純水に含まれる金属イオンを完全に取り除くことを目的として種々のキレーターを添加して反応を行ったところ、変化は見られなかった。又、酸素を取り除くことも効果があったことから、超純水脱酸素下で行うことにより、目的化合物の収率を向上させることが期待できる。 2.今後の展望 以上の結果とこれまでの結果を勘案すると、糖の3位の置換基(アルデヒド基から見てβ位)を変えることにより、高効率なアマドリ転位反応を達成する可能性が出てきた。今後、様々な置換基を導入した糖を化学合成し、安定な糖化タンパク質合成を達成したい。
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[Journal Article] Direct synthesis of 1,6-anhydro sugars from unprotected glycopyranoses by using 2-chloro-1,3-dimethylimidazolinium chloride2009
Author(s)
Tanaka, T., Huang, W.C., Noguchi, M., Kobayashi, A., Shoda, S.
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Journal Title
Tetrahedron Letters 50
Pages: 2154-2157
Peer Reviewed
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[Journal Article] Direct Transformation of Unprotected Sugars to Aryl 1-Thio-beta-glycosides in Aqueous Media Using 2-Chloro-1,3-dimethylimidazolinium Chloride2009
Author(s)
Tanaka, T., Matsumoto, T., Noguchi, M., Kobayashi, A., Shoda, S.
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Journal Title
Chemistry Letters 38
Pages: 458-459
Peer Reviewed
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[Journal Article] Dimethoxy triazine glycosides as new glycosyl donors for chemo-enzymatic synthesis of oligosaccharides2009
Author(s)
Tanaka, T., Kobayashi, A., Noguchi, M., Kimura, K.-i., Watanabe, K., Shoda, S.-i.
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Journal Title
Journal of Applied Glycoscience 56
Pages: 83-88
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