2008 Fiscal Year Annual Research Report
表面と内核が高度に構造制御された遺伝子治療用高分子ミセル型ナノデバイスの開発
Project/Area Number |
19750088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 完二郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (50436523)
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Keywords | 遺伝子治療 / ドラッグデリバリー / 高分子ミセル / 架橋 |
Research Abstract |
本研究では、生体内で低毒性かつ安定な遺伝子デリバリーを可能とする新規高分子ミセル型遺伝子キャリアシステムの構築を目指した。ポリエチレングリコール(PEG)とカチオン性高分子のブロック共重合体は、水溶液中で遺伝子(DNA)と自発的に会合し、DNA内包コアをPEG外殻が覆うミセル構造体を形成する。これを利用しつつ、さらなる血中滞留性の向上とそれに伴うin vivo遺伝子導入効率増加のために、ブロック共重合体(PEG-ポリリシン)への化学修飾を新たに施した。具体的には、カチオン性高分子部分にチオール(SH)基を導入し、ミセルのコアへ(細胞内で開裂する)ジスルフィド(SS)架橋を形成させた。さらに、生体内タンパク質や細胞表面との非特異的相互作用を抑制するために、ミセル表面にも改良を加えた。こちらは、DNA内包コアと生体成分との相互作用をシールディングするPEGの効果をより高めるために、反応性PEGを用いて調製されたミセルのさらなるPEG化(PEGの重層化)を試みた。 これまでの検討から、内核にSS架橋を有し、表面においてPEGが重層化された遺伝子内包高分子ミセルは、SS架橋と重層化PEG処理を施されていないサンプルと比べ、50倍近く血中滞留性が向上することが確認された。一方、実際に治療用遺伝子として血管増殖因子(VEGF)の可溶化受容体であるsFIt-1を選択し、皮下移植膵臓がんモデル治療実験を試みたところ、遺伝子投与なし、またはレポーター遺伝子を内包させたミセルなどのコントロール群と比べ、統計的に有意ながん増殖抑制効果が得られた。さらにその抗腫瘍効果を高めるために、PEGの分子量を12000から17000へと増加させ、かつPEGの末端に血管内皮細胞に特異的に認識されるペプチド(環状RGD)を導入した。結果として、環状RGDあり、PEGの分子量17000、SS架橋導入率10%前後の高分子ミセル型遺伝子キャリアは、皮下移植膵臓がんモデルに対して、最も効果的な抗腫瘍効果を示すことが確認された。
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Research Products
(9 results)