2007 Fiscal Year Annual Research Report
酵素を用いたラセミ体原料からの完全-方向巻きらせん高分子の創製と応用
Project/Area Number |
19750090
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
森野 一英 Kinki University, 分子工学研究所, 講師 (00362286)
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Keywords | 高分子合成 / らせん / 光学活性 / キラル / 酵素 / 速度論的光学分割 |
Research Abstract |
我々は,最近,リパーゼを用いた速度論的光学分割をヘリカルポリフェニルアセチレン合成に適用し,側鎖に2級アルコール部位を有するフェニルアセチレン誘導体のラセミ体を,リパーゼを用いて対応する光学活性なアルコールおよびエステル部位を有するフェニルアセチレンへと分割した後,それらを単離・精製することなく共重合することにより,一方向巻きに片寄ったらせん構造を有する光学活性ポリフェニルアセチレンを簡便に合成することに成功している。得られたポリマーは反応性の高い水酸基を有しており,かさ高いアキラルなイソシアナートや酸クロライドと反応させると,らせんの巻き方向を反転させることも可能である。 以上の背景を踏まえ,本研究では,申請者らが開発した「リパーゼを用いたラセミ体モノマーからのらせん高分子合成」の概念に「ラセミ化触媒を用いた動的速度論的光学分割」の手法を組み合わせて用いることにより,ラセミ体を原料とした完全一方向巻きらせん高分子の創製を目指し研究を行った。 はじめに、フェニル基上位のパラ位に2級アルコール部位を有するフェニルアセチレン誘導体(1)が2級アルコールをラセミ化可能な有機ルテニウム触媒を用いてラセミ化可能かどうか検討した。1に対して4モル%のchlorodicarbonyl(1-(i-propylamino)-2,3,4,5-tetraphenylpentadienyl)ruthenium(II)(Ru-2)とt-BuOK存在下、光学活性な1を添加し、トルエン中、室温でラセミ化を行った。その結果、1のラセミ化は観測されたが、完全にはラセミ化が進行しないことがわかった。Ru-2の量を20モル%にして同様の反応を行ったが、完全なラセミ化は観測されなかった。アセチレン部位を持たない(S)-1-phenylethanolを用いて、同様のラセミ化反応を検討したところ、30分で完全にラセミ化が進行したことから、アセチレン部位の影響によりラセミ化反応ぶ完全に進行しない可能性が強いものと考えられる。 現在、1の完全なラセミ化条件を検討中である。
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Research Products
(3 results)