2008 Fiscal Year Annual Research Report
酵素を用いたラセミ体原料からの完全一方向巻きらせん高分子の創製と応用
Project/Area Number |
19750090
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
森野 一英 Kinki University, 分子工学研究所, 講師 (00362286)
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Keywords | 高分子合成 / らせん / 光学活性 / キラル / 酵素 / ヨウ化サマリウム |
Research Abstract |
我々は最近、側鎖に2級アルコール部位を有するフェニルアセチレン誘導体のラセミ体を、リパーゼを用いて対応する光学活性なアルコール及びエステル部位を有するフェニルアセチレンへと分割した後、それらを単離・精製することなく共重合することにより、一方向巻きに片寄ったらせん構造を有する光学活性ポリフェニルアセチレンを簡便に合成することに成功している。一方、優れた一電子還元剤である2価のヨウ化サマリウム(Sml_2)を用いたジビニル化合物とジケトン化合物のカップリング重合により主鎖上にアルコール部位を有するポリマーが得られることが知られている。以上の背景を踏まえ、本研究では、4-(ビニルベンジルオキシ)ベンズアルデヒド(1)の還元的カップリング重合により主鎖上に2級アルコール部位を有するポリマーを合成し、得られたポリマーのリパーゼを用いた速度論的光学分割を行うことで、主鎖上に光学活性なアルコール部位を有する光学活性高分子を合成することを目的として研究を行った。 はじめに、1のSmI_2による還元的カップリング重合を、THF中、室温で24時間行なった。メタノール不溶部として、生成物を回収したところ、得られた化合物は目的のポリマーではなく、何らかの低分子であることが示唆された。この化合物の詳細な解析を行ったところ、アルデヒド基の還元的カップリングにより生成したジオール体であることが明らかになった。これは、SmI_2によるアルデヒド基の一電子還元により生じたラジカルアニオン同士のカップリングが、ビニル基への付加より優先的に進行したためであると考えられる。
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Research Products
(3 results)