2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物由来フェニルプロパノイド類の水系での精密重合系の開発
Project/Area Number |
19750091
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 浩太郎 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 講師 (70377810)
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Keywords | 高分子合成 / 有機工業化学 / 環境材料 / 再生可能エネルギー / 精密重合 |
Research Abstract |
植物由来のフェニルプロパノイドとして、アネトール、イソオイゲノールについて、種々の開始剤系を用いて、精密カチオン重合を検討した。まず、パラメトキシスチレンの水付加体を開始剤とし、水に対して安定なルイス酸として、三フッ化ホウ素エーテル錯体を組み合わせた開始剤系を用いて、多量の水存在下でのカチオン重合について検討した。この開始剤系を用いると、これまでに類似の骨格を有するパラアルコキシスチレンやパラヒドロキシスチレンの水系リビングカチオン重合を可能とすることがこれまでにわかっている。 該開始剤系を用いて、β-置換スチレン誘導体の重合を検討したところ、いずれの植物由来モノマーも嵩高さの影響から単独重合は進行しなかった。しかし、パラメトキシスチレンとの共重合を行ったところ、いずれのモノマーからも共重合が進行することを見出した。さらに適切な反応条件下においては、生成する共重合体の数平均分子量は、重合率と共に直線的に増加し、開始剤1分子からポリマー1分子が生成すると仮定した計算値に近く、比較的分子量分布の狭いリビングポリマーが得られることがわかった。さらに、イソオイゲノールは電子供与性の置換基を有する非常に嵩高いモノマーであるために、パラメトキシスチレンと共重合することで、これまでに例のないカチオン重合における交互共重合体が得られることについても見出した。このようなポリマーは、天然リグニンの構造が明確な直鎖構造を有する類縁体とみなすことができ、今後の用途開発が期待される。
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Research Products
(10 results)