2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖高分子とリプレッサーとの相互作用を活用した蛋白質生合成系の構築
Project/Area Number |
19750092
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
高須 昭則 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 准教授 (30303697)
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Keywords | 複合糖質 / 糖鎖高分子 / デンドリマー / Iacオペロン / 生合成 / タンパク質 / イソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG) / リプレッサー |
Research Abstract |
遺伝子組み換え技術を活用したタンパク質の生合成は大腸菌をホストに用いており、この発現機構ではlacoperonの遺伝子調節システムが適応されている。このシステムでは転写調節分子であるリプレッサーがDNA上に結合して転写を抑制しているが、誘導物質を添加することにより、リプレッサーは誘導物質と相互作用してDNAに結合できなくなり転写が開始される。その誘導物質としてIsopropyl β-D-thiogalactopyranoside(IPTG)が最も効果的であることが知られているが、その発現量と培養時間は社会的要求を満たしていない。最近、リプレッサーのX線構造解析が報告され、糖結合部位の構造も明らかになってきた。本研究では、高分子効果によるタンパク質発現量の増加を目指し、S-ガラクトシドを高分子に担持させた複合糖質の合成を行い、誘導物質としての可能性を検証した。高分子支持体としては、昨年度検討したポリ(アミドアミン)デンドリマー(Takasu et al. J. Polym. Sci. Part A : Polym. Chem. 2009)に加え、ポリ(2-オキサゾリン)およびポリ(スチレン)骨格を有する糖鎖高分子を開環重合法およびリビングラジカル重合法を駆使して合成できた。それらを誘導物質として用いてタンパク質のin vivo発現を行った。GFP(Green Fluorescent Protein)を目的タンパク質に用い、その発光により発現の確認と定量化を行った。昨年度と同様に、タンパク質発現は37℃で4時間行った。ポリ(スチレン)骨格は、大腸菌の細胞膜を崩壊させたのに対し、ポリ(2-オキサゾリン)骨格を用いた場合は、タンパク質の発現が確認でき、誘導物質としての作用が示唆された。しかしIPTGと比べるとその蛍光強度は低かった。膜融合法も検討したが蛍光強度の増大は確認でなかった。以上の結果から、さらに高分子構造を模索する必要性が示唆された。
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Research Products
(5 results)