2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750094
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有田 稔彦 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 助教 (50423033)
|
Keywords | 高分子合成 / 高圧力 / 表面改質・修飾 / 超臨界流体 / リビングラジカル重合 |
Research Abstract |
平成20年度は、まず前年度に得られた実際のデータ等をフィードバックしながら、新たにより操作性が良くかつ、簡便な反応容器を設計・製作した。新反応容器の導入により、実験の効率が向上し、当初予定していた以上の成果を残すことが出来た。以下、具体的な成果を説明する。フッ素系ポリマーを含む各種ポリマーブロック上に超臨界高圧浸透原子移動ラジカル重合(ATRP)法により、PMMA膜を、超臨界高圧浸透ニトロキシド媒介重合(NMP)によりポリスチレン膜を作製することに取り組み、ナイロンやフッ素系樹脂(PCTFE)上にPMMAやポリスチレンなどのポリマーを固定化することに成功した。PCTFEへは各種ポリマーを含浸重合出来たものの、フルオロポリマーの代表格であるPTFEへは、スチレンモノマーを少量ながらも含浸できていることは確認できたが、ポリスチレンとしては導入量が少ないためか、確実に含浸重合できたとは言いがたい結果となった。しかし、当初計画していた超臨界高圧含浸リビングラジカル重合法の確立は、十分に達成出来たものと考えている。 更に、実施計画にあった汎用ポリマーの超臨界高圧浸透リビングラジカル重合による表面改質のみならず、表面改質後のポリマーブロックにPMMAに第三種の高分子を接ぐ(PHEMA)ことにも成功したほか、超臨界水熱法で合成した有機表面修飾セリアナノ粒子の表面状態を詳細に解析し、粒子表面に脂肪酸の自己組織化膜が出来ていることと、その自己組織化膜を用いて自己組織化膜の溶液中での挙動を分子レベルの動きまで細分化して観測することに成功したこととから、当初の計画以上の成果を確保できたものと考えている。 一点だけ、研究(実験)の推進に力を注ぎすぎ、研究期間中に十分な発表活動が出来なかったことについては、今後成果を発表するとしても、バランスを欠いたと反省している。
|