2007 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体に高濃度溶解し安定に機能する電気化学メディエーターの分子設計
Project/Area Number |
19750108
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
水雲 智信 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 助教 (90436676)
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Keywords | イオン液体 / 酸化還元分子 / 電気化学 / メディエーター / キノン誘導体 / 二酸化炭素 / イオン伝導性マトリックス / プロトン伝導材料 |
Research Abstract |
イオン液体の電気化学反応場としての有用性に着目し、イオン液体中へのキノン誘導体の溶解挙動、および酸化還元挙動について検討した。イオン液体には、メチルベンゾキノンなどの融点が低いベンゾキノン類が室温で容易に溶解し、有機溶媒中と同様の二段の酸化還元応答を示すことを見出した。これに対し、フェナントレンキノン類やアントラキノン類の溶解性は低い傾向が見出された。さらに、イオン液体への溶解性を向上させるための方法として、ポリェーテフレオリゴマーや、イオン性の部位を付加する試みを進めた。ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシドで修飾した液状キノンを得た。これらは、イオン液体に対して高い溶解性を示した。現在はベンゾキノン類についてのみ精製・評価を達成したが、アントラキノン類など、従来商い溶解性が得られていなかった系でも同様の効果を得るべく検討を進めている。一方で、反応場であるイオン液体のデザインについては固相化を検討した。イオン液体をエラストマーとコンポジット化させることにより、柔軟なフィルムを得た。当初、単純なイオン液体/エラストマー混合体ではフィルム化と高いイオン伝導度の両立が困難であったが、ここに無機塩を添加することで、機械的強度とイオン伝導度を両立させることができた。また酸性イオン液体コンポジット化させた系も得た。有機物が酸化還元する際に、プロトンは多大な影響を持つことから、この知見は重要である。さらに、二酸化炭素をイオン液体に溶存させることでキノンの酸化還元挙動が大きく変化するという新知見も得られた。以上の成果は、イオン液体中での電気化学を進展させるために極めて重要である。
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Research Products
(11 results)