2007 Fiscal Year Annual Research Report
配位結合-水素結合ハイブリッド型超分子カプセルの構築と動的ゲスト包接
Project/Area Number |
19750111
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山中 正道 Shizuoka University, 理学部, 助教 (10377715)
|
Keywords | 超分子 / カプセル / 水素結合 / 配位結合 / 自己集合 / キャビタンド / 包接 / NMR |
Research Abstract |
水素結合と金属-配位子の配位結合を駆動力としてハイブリッド型超分子カプセルを構築し、形成される孤立したナノキャビティーへのゲスト分子の包接と、外部刺激に応答したゲスト分子の動的挙動の解析を目的として研究を行っている。本年度は、ハイブリッド型超分子カプセルの基盤分子となる非対称キャビタンドの合成に取り組んだ。分子軌道計算などに基づき、ピリジルエチニル基とウレア基を有する非対称キャビタンドを分子設計した。本化合物は、テトラブロモキャビタンドの非対称化とカップリング反応による官能基導入を鍵行程とする合成経路を立案した。非対称化は、テトラブロモキャビタンドに二当量のブチルリチウムを作用させ、四ケ所ある臭素のうち二ケ所を選択的にリチオ化した後、ホウ酸エステルと反応させることで達成され、非対称キャビタンドであるジホウ酸ジブロモキャビタンドを得た。官能基導入は、ホウ酸部位の鈴木クロスカップリングと続く官能基変換により水素結合部位となるウレア基の導入、臭素部位のハロゲン交換反応によるヨウ素化と薗頭クロスカップリングによるピリジルエチニル基の導入により達成し、目的とする水素結合部位としてウレア基、配位結合部位としてピリジルエチニル基を有する非対称キャビタンドの合成を得た。合成した非対称キャビタンドを二価パラジウム錯体と混合し、その溶液をNMRにより解析したところ、非常に対称性の高いスペクトル、即ちハイブリッド型超分子カプセルの形成を示唆するスペクトルが得られた。
|