2009 Fiscal Year Annual Research Report
配位結合-水素結合ハイブリッド型超分子カプセルの構築と動的ゲスト包接
Project/Area Number |
19750111
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山中 正道 Shizuoka University, 理学部, 准教授 (10377715)
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Keywords | 超分子 / カプセル / 水素結合 / 配位結合 / 自己集合 / キャビタンド / 包接 / NMR |
Research Abstract |
水素結合と金属-配位子の配位結合を駆動力としてハイブリッド型超分子カプセルを構築し、形成される孤立したナノキャビティーへのゲスト分子の包接と、外部刺激に応答したゲスト分子の動的挙動の解析を目的として研究を行っている。昨年度までに、水素結合部位と配位結合部位を有する非対称キャビタンドの合成と金属錯体との自己集合によるハイブリッド型超分子カプセルの形成、さらには陰イオンの添加によるゲスト分子の包接に関する知見を得ている。本年度は、ゲスト分子包接の熱力学的性質および速度論的性質に関する詳細な解析を実施した。ゲスト分子包接の熱力学的性質を温度可変NMRスペクトルの測定結果より解析した結果、ゲスト分子の包接がエンタルピー駆動により進行していることが明らかとなった。また、二次元NMRの測定結果の解析により、カプセルに包接されたゲスト分子の交換速度定数を算出した。水素結合と配位結合により形成されている本ハイブリッド型超分子カプセルにおいては、ジメチルスルホキシドのような極性溶媒の添加においてもゲスト包接錯体の構造は維持されているものの、水素結合の開裂によりゲスト分子の交換速度が速くなるという現象を見出した。さらに、金属錯体のリン配位子をビスジフェニルホスフィノプロパンから種々の二座リン配位子に変換しゲスト分子の交換速度を算出したところ、配位子と中心金属のバイトアングルによりその速度に顕著な変化がみられることを明らかとした。
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