2008 Fiscal Year Annual Research Report
静水圧力印加による磁性ナノ粒子の表面・界面構造の人為的制御
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19750118
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
美藤 正樹 Kyushu Institute of Technology, 大学院・工学研究院, 准教授 (60315108)
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / 高圧力実験 / 界面構造 / 表面構造 / 超常磁性 |
Research Abstract |
磁性ナノ粒子は、粒子サイズがナノメートルサイズであることに起因した単一磁区構造形成によって、超常磁性を示す。このような磁性発現において、ナノ粒子の表面構造(シェル)の構造上の非周期性が磁性状態に大きな影響を与える。一方、粒子の中心部分、すなわち一般にコアと呼ばれる部分は構造周期性を有しており、ナノサイズの粒子の中に、構造対称性の異なる二つの層が存在することになる。それらの層間には界面が存在し、それがバイアス効果として磁気特性に大きな影響を与える。一般に、それらの各階層構造の磁気異方性を評価することは実験的に難しい。本研究は、磁性ナノ粒子の表面構造および粒子内界面構造ならびに磁気異方性を静水圧力印加によって連続的かつ人為的に制御し、それらの基礎物理情報を収集することを目的としたものである。当該年度は、強磁性型FePt磁性ナノ粒子の高圧力下磁気測定・物性実験を中心に行い、最後に、その結果をこれまでに行ってきたフェリ磁性型マグヘマイトナノ粒子ならびに反強磁性型フェリハイドライト系ナノ粒子の実験結果と比較検討することで、磁性ナノ粒子一般における磁気的性質と粒子内構造の関係について考察した。特に、FePtナノ粒子での常圧力における磁気異方性評価を、磁気測定およびESR測定を通じて詳細に研究し、その圧力効果を磁気測定および構造解析実験を通じて調べた。超常磁性温度領域の拡大を伴った一連の実験結果は、圧力下におけるコアの磁気異方性変化によるものとして理解された。この研究は、結果的に、あるモデル物質において磁気異方性を連続的に操作する研究を実施したことになり、マグヘマイトナノ粒子やフェリハイドライト系ナノ粒子においても同様の実験に成功していることからも、磁性ナノ粒子系における高圧力実験の新しい研究価値を提案するものとなった。
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Research Products
(16 results)