2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750119
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤原 秀紀 Osaka Prefecture University, 理学系研究科, 講師 (70290898)
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Keywords | 有機伝導体 / 電子供与体 / 光機能性 / 電気化学的性質 / 構造有機化学 / 結晶構造 / 蛍光スペクトル |
Research Abstract |
電子輸送材料として広く知られている2, 5-ジフェニルー1, 3, 4-オキサジアゾール(PPD)は強い蛍光を示す化合物である。PPDと高い電子供与能を持つTTFを結合させた化合物では、PPD基の光励起によりTTFからPPDへの分子内電子移動が起き、電荷キャリヤーが生じることにより光誘起伝導性を示すことが期待される。我々はこれまでTTFとPPDが直接結合した化合物1について研究を行なってきた。今回、TTFとPPD間の結合様式の違いによる相互作用の変化を調べるため、アルキルチオスペーサーで結合させた化合物2、およびアルケンスペーサーで結合させた化合物3を合成し、その結晶構造と諸性質について検討を行なった。CHCl_3中で測定したUV-Vis吸収スペクトルは1は312nmと451nmに、2は293nmに、3は330nmと462nmに吸収極大を示した。1および3は450nm付近に比較的強い吸収帯を持ち、量子化学計算(B3LYP/6-31G^<**>)よりTTF部位に由来するHOMOからPPD部位に由来するLUMOへの電子遷移、つまり電荷移動吸収であると考えられ、1, 3の場合には2の場合よりも両部位間の相互作用が強いことが示唆された。再結晶により得られた2の単結晶のX線構造解析を行った。同条件下で2は赤色針状品と黄色針状晶の2種類の結晶を与えた。赤色結晶の方が分子間でTTF-PPDの間の相互作用が大きい構造となっており、結晶中での分子間相互作用の様式の差が結晶の色に影響を与えていると思われる。また、単結晶試料について光照射による光電流の発生を検討したところ、より大きな分子間重なり積分値を示す結晶がより大きな光電流値を与えたため、結晶の伝導度は分子の構造よりも、その積層構造に大きく依存していることが明らかとなった。
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