2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750120
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今岡 享稔 Keio University, 理工学部, 助教 (80398635)
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Keywords | デンドリマー / ポルフィリン / フェニルアゾメチン / 電子移動 / 光化学 / 金属集積 / 錯形成 / 触媒 |
Research Abstract |
樹木型骨格に発現した電子的勾配を介した、電子の移動のベクトル制御の可能性を示唆し、これが光エネルギー変換の鍵反応である「電荷分離状態」形成に効果的であることを確認した。まず、デンドリマーのコアに亜鉛ポルフィリン、末端にナフトキノン骨格を共有結合によって単一分子化したD-A連結分子について、その合成を実施した。末端をベンジル基で保護したデンドリマーをコンバージェント法で合成し、脱保護、ナフトキノンを修飾したアルキルブロマイドとのエーテル化によって目的の分子を第4世代まで合成した。得られた分子(第1世代〜第4世代)について、電子移動速度の算出を行ったところ、世代数の増加にともなって電荷再結合がより強い減衰を受ける、非対称な電子移動減衰挙動を示し、勾配に沿って電子がデンドリマー内部から外側へ移動しやすく、逆方向への移動が抑えられていることが明らかとなった。昨年度、D/A混合系における分子間電子移動を行うと、同様に常温常圧・均一系において非対称な電子移動が発現し、量子収率の損失なく10ms以上存在できる極めて安定なラジカルイオンペアの生成に成功しているが、この際2分子反応の速度定数に見られた非対称電子移動が、拡散過程の影響を受けない分子内電子移動においても観測されたことにより、デンドリマーのシェルによる特定方向への電子移動制御が可能であることを示した。固体中に分散したデンドリマーについて光励起に伴うキャリア発生を伴った光導電性の発現においても、樹木型骨格が効率向上に大きく寄与していることを突き止めた。
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