2008 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性高分子・生体分子間相互作用の評価と実空間解析技術の開発
Project/Area Number |
19750130
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤田 雅弘 The Institute of Physical and Chemical Research, 前田バイオ工学研究室, 研究員 (50342845)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 生分解性高分子 / 分解酵素 / 吸着 / 分子認識 / 相互作用 / 界面 |
Research Abstract |
生分解性高分子材料の分解寿命制御技術の開発の一環として、本研究では材料表面への分解酵素の吸着メカニズムの解明を目指している。原子間力顕微鏡(AFM)探針表面に分解酵素を固定化することで分解酵素をプローブとして用い、バイオポリエステル表面との微小な吸着力を直接測定する新規検出法を構築している。 本年度は、分解酵素として用いてきたRalstonia pickettii T1由来のPHB分解酵素の変異酵素を作製し、それを用いて、分解酵素吸着部位の機能の詳細を調べた。昨年度同様に、基質材料としてポリ[(R)-3-ヒドロキシブタン酸](p(3HB))とポリ(L-乳酸)(PLLA)を対象とし、AFM法による吸着力測定ならびに動的分子間力分光法、ならびに表面プラズモン共鳴法(SPR)による速度論解析の観点から相互作用評価を行った。疎水性相互作用や水素結合能を有すると思われるアミノ酸残基を置換した変異酵素を用いたところ、明瞭な吸着力の低下および吸着頻度の低下も認められたSPR測定からも吸着量の減少が認められた。これらのことから、吸着に関与するアミノ酸残基の特定と吸着メカニズムの提案に至った。また、AFMによる吸着破断力測定法の最適化も引き続き検討し、AFM探針表面と酵素分子とをリンクする新規分子を利用することで、固定化する酵素分子数を制御し、かつ非特異吸着を極力抑えることができた。さらに、これまで本課題で得られた知見に基づき、吸着力分布の二次元可視化に関する方法論の構築も検討した。
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