2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内情報伝達物質サイクリックADPリボースに対する蛍光プローブの構築
Project/Area Number |
19750135
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山内 晶世 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 助教 (70361110)
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Keywords | 蛍光プローブ / サイクリックADPリボース / π-π相互作用 |
Research Abstract |
申請者らは,フェニルボロン酸と蛍光色素の複合体からなる蛍光プローブが,通常のフェニルボロン酸とは異なりリボースやグルコースに対して良く応答することを見いだしているが,このプローブの糖認識機構は不明であった.本研究で合成を目指している,サイクリックADPリボースに対する蛍光プローブにこのフェニルボロン酸型蛍光プローブの原理を応用するために,単糖に対する認識機構を詳細に解析した.その結果,糖に対する応答は,フェニルボロン酸-糖錯体と蛍光色素との相互作用に依存することが明らかになった.つまり,糖が結合したフェニルボロン酸の立体構造が蛍光色素との複合体の形成のしやすさに影響し,糖に対する親和性を決定することがわかった. また,サイクリックADPリボースのアデニン環と相互作用する大きなπ平面をもつプローブは,水溶性が低く,NMRによる構造解析などを用いた認識機構の詳細な解析が困難であることから,モデル化合物として,シクロデキストリンにピレニルプロピルアンモニウムを修飾した蛍光プローブを合成した.このプローブは,水中でプリンヌクレオチドと結合し,蛍光強度が減少した.NMRによってピレン環とプリン環との間でπ-π相互作用が働いていることを確認し,水中に露出したπ平面が認識に有効であることを示した.また,プロピルアンモニウム基とリン酸基の間での静電相互作用も認識に関与していると考えられ,π-π相互作用と静電相互作用の併用が水中でのサイクリックADPリボースの認識に有用である可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)