2007 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性アンチセンス分子による人工転写バルブの形成と転写反応の制御
Project/Area Number |
19750141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
開發 邦宏 Osaka University, 産業科学研究所, 助教 (70419464)
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Keywords | アンチセンス技術 / 遺伝子発現制御 / アゾベンゼン |
Research Abstract |
これまで我々は、ペプチド核酸(PNA: Peptide Nucleic Acid)と呼ばれる非天然核酸を用い、細胞内の遺伝子発現を抑制することに成功している。本研究では、PNAに光応答性のアゾベンゼン(AZO)を搭載し、光照射により標的遺伝子の発現を制御することを目指す。 1.光照射により効率的にトランス-シス異性化するアゾベンゼン誘導体の開発 一般に、アゾベンゼンは紫外〜可視領域の光を吸収して、トランス体からシス体へと幾何異性化する。そこで、アゾベンゼン異性化に用いる紫外光および可視光の細胞障害性について調べた。その結果、イヌ腎臓培養細胞に対し、紫外光(365nm)を照射した場合に顕著な細胞増殖活性の低下が認められたが、可視光(410nm)を照射した場合では細胞増殖活性の低下は認められなかった。以上のことから、細胞内での遺伝子発現制御に利用するPNA-AZOには、可視光応答型アゾベンゼンを搭載する方針を立てた。可視光応答型アゾベンゼンの合成については、アゾベンゼンのアゾ骨格からパラ位に窒素原子を導入したり、分子内のπ電子共役系を拡張したりすると、そのトランス体の極大吸収波長が可視領域(400nm付近)にシフトすることを確認した。さらに、アゾベンゼンにアセチレンユニットを導入することで、トランス体の吸収極大波長が444nmまで長波長側にシフトすることを見出した。このアゾベンゼンに450±5nmの可視光を照射すると、シス体へと幾何異性化することをUVスペクトル、1H-NMRにより確認した。 2.光照射を受けて二重鎖DNAの解離と会合を制御できるPNA-AZOの開発 可視応答型アゾベンゼンにカルボキシル基とアミノ基を導入し、PNAの配列中心にアミド結合によりAZOを搭載したPNA-AZOコンジュゲートを調整した。このPNA-AZOの二重鎖DNAに対する結合挙動を可視光450nmの照射前後で比較した。その結果、PNA-AZO分子内のアゾベンゼン骨格を可視光照射によりトランス体からシス体に幾何異性化させると、二重鎖DNAに対する会合体形成能が向上することをゲルシフトアッセイ法により確認し、PNA-AZOの構造がDNAに対する会合体形成能に影響を与えることを見出した。
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Research Products
(4 results)