2008 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性アンチセンス分子による人工転写バルブの形成と転写反応の制御
Project/Area Number |
19750141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
開發 邦宏 Osaka University, 産業科学研究所, 助教 (70419464)
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Keywords | 可視応答型アゾベンゼン / ペプチド核酸 / アンチセンス / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
我々は、ペプチド核酸(PNA : Peptide Nucleic Acid)と呼ばれる非天然核酸を用い、細胞内の遺伝子発現を抑制することに成功している。本研究では、PNAに光応答性のアゾベンゼン(AZO)を搭載し、光照射により標的遺伝子の発現を制御することを目指した。 1. 可視光照射により効率的にトランス-シス異性化する新規アミノ酸型アゾベンゼン誘導体の開発 アゾベンゼンは紫外光の照射によりトランス体からシス体へと幾何異性化する。我々は紫外光ではなく、生体侵襲性の低い可視光に応答する新規アゾベンゼンの合成を目指した。アゾベンゼンのアゾ部からベンゼン環を挟んでパラ位に炭素、酸素、窒素、硫黄原子を導入したところ、窒素および硫黄置換体でトランス体の極大吸収波長が可視領域(380-440nm付近)にシフトすることを見出した。特に、硫黄置換型アゾベンゼンは可視光への応答性、異性化の可逆性、シス体の熱安定性が優れることを明らかにした。この可視光応答型アゾベンゼンの分子内にカルボキシル基とアミノ基を導入し、新規な可視光応答型アミノ酸の合成に成功した。 2. 可視光応答型PNA-AZOの合成とその応用 GFP(green fluorescence protein)の遺伝子配列に塩基相補的なPNAストランドを2つ設計し、これらを上記アミノ酸型アゾベンゼン(AZO)をリンカーとしてつないだPNA-AZO-PNAを調整した。このPNA-AZQ-PNAに可視光(450nm)を照射するとAZO骨格がトランス型からシス型へ異性化し、ヘアピン型構造を形成することを確認した。次に、PNA-AZO-PNAのAZO骨格がトランス型とシス型のものを調整したところ、シス型の場合に標的遺伝子配列に対する会合効率が高いことを見出した。このPNA-AZO-PNAのトランス型またはシス型のものをGFP発現遺伝子とともにイヌ腎臓細胞へ導入したところ、AZO骨格がトランス型の場合に比べてシス型の場合にGFPの発現効率が高くなることを確認した。現在、そのメカニズム解明に向けて検討を進めている。
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Research Products
(4 results)