2007 Fiscal Year Annual Research Report
非天然テトラピロール系補因子に対するヘムオキシゲナーゼの作用機構の詳細な解明
Project/Area Number |
19750142
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松尾 貴史 Osaka University, 大学院・工学研究科, 講師 (50432521)
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Keywords | テトラピロール / ヘムオキシゲナーゼ / 酸化分解 / 還元速度 / 片足ヘム / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
平成19年度は、ポルフィセン鉄錯体の合成および、これを含むヘムオキシゲナーゼの調製方法と反応性について検討した。合成したポルフィセン鉄錯体は、マクマリーカップリングを利用して構築したポルフィセン骨格に、水溶性を考慮してプロピオン酸側鎖を2つ装着したものを分子デザインして、多段階からなる有機合成により得た。一方、文献の方法を参考に、ヘムオキシゲナーゼを大腸菌により発現させ、ポルフィセン鉄錯体が結合したヘムオキシゲナーゼの調製方法を検討し、カラム分離条件の最適化を行った。この含ポルフィセンヘムオキシゲナーゼに対して、CPR存在下で、NADPHによる反応を紫外可視吸収スペクトル測定により追跡したところ、新たな吸収バンドの出現が確認された。このことは、αメソ位のないポルフィセンにおいても、分解反応が進行しうることを示唆している。 しかし、スペクトル変化は、天然のヘムに比べて遅かった。CO雰囲気下における還元速度測定においても、同様の傾向が観測されたことから、天然ヘムと比べて分解反応が遅い理由の1つは、CPRからの第一還元速度が小さいことであると結論づけた。また、アスコルビン酸および過酸化水素を作用させても、これらと同じ実験結果が得られたことから、反応機構は、ヘムと同様であると考えられる。 また、mCPBAとの反応においては、Fe(IV)オキソ種の生成をストップトフロー法にて観測した。この高酸化活性種の反応性をグアイアコールとの反応によって評価し、HRP中におけるFe(IV)オキソ種との反応性の比較を行ったところ、ヘムオキシゲナーゼ中における高酸化活性種の反応性は、HRP中よりも小さく、蛋白質構造の違いにより説明できることが判明した。さらに、非天然ヘムを含むヘムオキシゲナーゼの結晶作成および構造解析にも成功し、酵素結合時のプロプオン酸の役割が明らかとなった。
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Research Products
(14 results)