2007 Fiscal Year Annual Research Report
ファージディスプレイ法で同定した医薬小分子の新規相互作用の検証
Project/Area Number |
19750145
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高草木 洋一 Tokyo University of Science, 理工学部・応用生物科学科, 助教 (60439916)
|
Keywords | ファージディスプレイ法 / 動的作用機構 / ケミカルバイオロジー / カンプトテシン / イリノテカン / ロキシスロマイシ / QCM |
Research Abstract |
ファージディスプレイ法により同定したカンプトテシンの新規結合候補タンパク質hnRNP A3およびロキシスロマイシンの新規結合候補タンパク質アンジオモチン(Amot)に関して、大腸菌を用いた遺伝子組み換えによる作製に成功し、各々の相互作用試験を遂行するための準備を終了した。いずれの化合物においても、上記のタンパク質と相互作用する可能性は過去に報告されておらず、スクリーニングで同定したペプチド配列をもとに候補タンパク質の推測を可能とするファージディスプレイ法の特筆すべき性質がミもたらした新規知見である。次年度では、相互作用の有無を検討する。 また、本研究と同時にファージディスプレイ法自体の改良および最適化研究を並行して進め、水晶発振子マイクロバランス装置を用いた新規プラットフォームの開発および最適化に成功した(Takakusagi Y. et al. (2007)Bioorg. Med. Chem., 15, 7590-7598)。この方法を利用したカンプトテシンおよび臨床使用されている類縁体のイリノテカンのスクリーニングでは、既知結合タンパク質ならびにhnRNP A3を含む新規結合タンパク質の同定に成功し、ゲノムデータベースの中から新たな結合候補タンパク質のリストアップを達成している。本研究は臨床使用されている医薬小分子の作用機構や副作用の解明のみならず、優れた新規医薬小分子を分子設計するための基盤情報を構築するために非常に重要である。「医薬品となりうる優れた化合物はさまざまな標的と相互作用し、それに伴って生じる生物活性変化の調和を保って結果的に有効と判断される薬効を示している」という我々の仮説を証明するための最も適切な手法がファージディスプレイ法であり、本研究の成果によりこれらを実証し、従来のプロテオミクス的手法では困難な相互作用が次々と同定されると期待される。
|