2008 Fiscal Year Annual Research Report
ファージディスプレイ法で同定した医薬小分子の新規相互作用の検証
Project/Area Number |
19750145
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高草木 洋一 Tokyo University of Science, 理工学部, 助教 (60439916)
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Keywords | ファージディスプレイ法 / 抗腫瘍活性 / カンプトテシン(CPT) / ロキシスロマイシンRXM / アンジオモチン(Amot) / 血管新生 / hEP1 受容体 / hnRNP A3 |
Research Abstract |
T7ファージディスプレイ(PD)法により、抗生物質ロキシスロマイシン(RXMの血管新生阻害作用の原因候補タンパク質としてアンジオモチン(Amot)を、抗腫瘍活性物質カンプトテシン(CPT)の新規結合タンパク質の候補としてhuman E prostanoid receptor1(hEP1)およびhnRNP A3を同定した。それぞれの医薬小分子とタンパク質の相互作用を下記の検証実験により証明した。 RXH : ビオチン化RXMをアビジンアガロースビーズに固定し、大腸菌遺伝子組み換えによって発現させたAmotのBIG3ドメイン(458E-596T)との相互作用をプルダウンアッセイにより試験した。その結果、Amotは、RXMの濃度依存的に結合することを確認した。RXMの血管新生阻害作用の原因タンパク質およびAmotを標的とする医薬小分子の例はこれまでに報告されていないことから、抗癌剤研究開発の基礎研究における非常に重要な知見である。 CPT : 膜7回貫通型受容体であるhEP1は、Gαqタンパク質と共役しており、セカンドメッセンジャーとしてCa^<2+>をリンクしている。各種バイオセンサーやプルダウン試験の結果、CPTは細胞内第3ループに強く結合し(K_D : 0.092画)、第3ループとGαqタンパク質の脱共役を引き起こすことを明らかにした。また、その結果としてCa^<2+>の細胞内流入を阻害することを、蛍光プローブFluo-4を用いた細胞シグナル実験により証明した。一方、CPTとスプライシングファクターhnRNPA3との相互作用をQCM装置により試験したところ、KD値として91.5μMの相互作用を確認した。またキイロショウジョウバエを用いた感受性評価では、hnRNP A3のノックアウトによりCPTの感受性が上昇することを確認した。いずれもCPTの新規分子標的の可能性が高く、創薬研究の重要知見である。
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Research Products
(16 results)