2007 Fiscal Year Annual Research Report
テトロドトキシン新規誘導体の合成と構造-活性相関の解明
Project/Area Number |
19750147
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
赤井 昭二 Kanagawa University, 工学部, 助教 (00322537)
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Keywords | 有機化学 / 生理活性 / 合成化学 / テトロドトキシン |
Research Abstract |
テトロドトキシン(TTX)は、低分子ながら高度に官能基化され、かつ多くの不斉炭素を有する海産性天然毒の代表的化合物で、神経生理学研究において重要な道具の1つとして用いられている。本研究では、TTXの構造活性相関を詳細に検討することを目的とし、天然からは見い出されていないTTX誘導体として4-,8-および9-デオキシTTXと、食物連鎖と生合成経路の追跡実験(トレーサー実験)に必要となる標識体(^<13>C,^<15>N)の合成を行い、これまで明らかとなっていない6,11位以外の官能基とNaイオンチャネルとの結合活性から、TTXの構造-活性相関を明らかにすることを目的に研究を行った。 初年度(19年度)は先ず、D-グルコースを出発原料としFerrier反応を鍵反応とする全合成ルートにおいて、さらなる収率の改善を図ると共に、それを利用して8-デオキシTTXの合成を目指した。その結果、TTXの6位となる分枝鎖の構築となるPetersonオレフィン化を酸処理により行うことにより、効率良く行うとともに、アミナール結合部位となる4a位の分枝鎖構築に関しても、有機セリウム反応剤を用いることで収率を向上させることに成功した。この改良ルートにより8位部分をデオキシ化した基質で検討を進め、8a位へ増炭した重要中間体(ジクロロメチル体)の合成まで成功した。以上、8-デオキシTTX合成において懸念された最大の工程を踏破し、8-デオキシTTXの合成に見通しを立てることができた。さらに、アミノ官能基の導入と、オルソエステル部分の構築に向け検討を進めている。 また、収率の改善過程で、ジオールの保護基として多用されるベンジリデンアセタールの新規開裂方法として、CoCl_2-BH_3-THFによる手法を見出すことに成功し、今後、有機化学上の有用な一手法となるものと期待される。
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Research Products
(2 results)