2007 Fiscal Year Annual Research Report
非天然型人工塩基に導入したアルデヒド基の反応性と酵素認識に関する研究
Project/Area Number |
19750151
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
三井 雅雄 The Institute of Physical and Chemical Research, タンパク質基盤研究グループ, 客員研究員 (60345155)
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Keywords | 人工塩基対 / アルデヒド基 / 反応性 / 酵素認識 |
Research Abstract |
研究代表者の所属研究室で開発された人工塩基対(Ds-Pa)は、人工塩基DsおよびPaをDNAやRNA中に部位特異的に酵素反応により相補的に導入することができる。人工塩基Paには、天然型核酸塩基にはないアルデヒド基が結合されているため、アルデヒド基をDNAやRNAの部位特異的な化学修飾サイトとして利用できる。このPaアルデヒド基は、天然型ピリミジン塩基の2位ケト基の酸素原子と同様に複製や転写における核酸合成酵素との相互作用を容易にするために結合しているが、自由回転可能なアルデヒド基のコンフォメーションによっては、酸素原子の位置は異なってくる。人工塩基Paのアルデヒド基の配向を詳しく調べ、基質と酵素認識能の関係を明らかにすることは、新たな人工塩基のデザインだけでなく、酵素と基質問の相互作用に関する新たな情報を提供できる。そこでPaに結合したアルデヒド基の化学的反応性の検討と、アルデヒド基のコンフォメーションの違いと酵素認識能の関係をPaと比較して調べるための2-ピロールアルデヒドの3位で糖と結合したC-ヌクレオシド合成を行った。Paのアルデヒド基のシッフ塩基形成についてヌクレオシドレベルでHPLCとNMRにより調べた結果、10倍等量のヒドラジンを用いた場合、リボヌクレオシドPaと反応してシップ塩基を形成し、酸性加熱条件で可逆的にPaに戻ることがわかった。このことから、ヒドラジン様アミンによる化学修飾が可能であることが予備的に分かった。また、C-ヌクレオシド合成では、2-スチリル-3-ヨードピロールとシリル化フラノイドグリカールとのPd触媒クロスカップリング反応、スチリル基の酸化切断によるアルデヒド基への変換を経て、5段階トータル収率17%で目的のC-ヌクレオシドが合成できることが分かった。現在更にアルデヒド基の反応性とコンフォメーションに関して検討を行っている。
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