2008 Fiscal Year Annual Research Report
非天然型人工塩基に導入したアルデヒド基の反応性と酵素認識に関する研究
Project/Area Number |
19750151
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
三井 雅雄 The Institute of Physical and Chemical Research, 核酸合成生物学研究チーム, 客員研究員 (60345155)
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Keywords | 人工塩基対 / アルデヒド基 / 反応性 / 酵素認識 |
Research Abstract |
研究代表者の所属研究室で開発された人工塩基対(Ds-Pa)は、人工塩基Ds、およびPaをDNAやRNA中に部位特異的に酵素反応により相補的に導入することができる。本研究課題は、人工塩基Pa内のアルデヒド基をDNAやRNAの部位特異的な化学修飾サイトとして利用可能であると考え、アルデヒド基の反応性に基づくDNAやRNAの複製・転写後修飾の可能性とPa内のアルデヒド基の向きが及ぼす核酸合成酵素の認識能を調べることを目的とした。アルデヒド基の反応性に関する知見の一つとして、シクロヘキシルアミンとN-メチルピロール-2-アルデヒドとのすでに報告されている反応条件を用いて比較した場合、ヌクレオシドPa内のテルデヒド基の反応進行は遅いことが分かった。一方、アルデヒド基の配向と核酸合成酵素により取り込まれる基質の酵素認識能を調べるために合成したデオキシヌクレオシドPa(dPa)の構造異性体(2-ピロールアルデヒドの3位で糖と結合したC-ヌクレオシド:dB3)の基質の核酸合成酵素反応の効率は低く、dPaとのアルデヒド基の向きの違いを、NMR を用いた糖H1'とアルデヒド基間のNOE強度に着目して調べた。その結果、糖H1'とCHO基間のNOE強度増加は、dPaが4%であることに対して、dB3では12%であった。さらに75℃加熱条件下では、dB3ヌクレオシドが12%から6%に減少したことに対し、dPaヌクレオシドは、4%から3%とほとんど変化しなかった。これは、dB3ヌクレオシドに結合したアルデヒド基の酸素原子の向きが、核酸合成酵素との相互作用に適した配置を取りにくい構造をしており、自由回転可能なアルデヒド基の酸素原子を核酸合成酵素に対する認識原子として利用した人工塩基設計に対する有用な知見を得ることができた。
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