2007 Fiscal Year Annual Research Report
負の誘電率異方性色素ドープ液晶の開発と平板凹型マイクロレンズの一光束造形
Project/Area Number |
19750160
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木下 基 Tokyo Institute of Technology, 資源化科学研究所, 助教 (40361761)
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Keywords | 液晶 / 光 / マイクロレンズ |
Research Abstract |
近年,光通信用あるいは液晶表示用素子として,レンズを小さく二次元あるいは積層したマイクロレンズアレイおよびそれらを用いる並列型光デバイスの需要が日々増大しており,簡便かつ安価な作製手法の開発が望まれている。 最近,オリゴチオフェン誘導体および液晶性ホストに加えて重合性モノマーからなる系において,一光束で光配向変化と配向固定化できる平板凸型マイクロレンズの作製に成功し,任意の偏波面で自在に配列した平板マイクロレンズアレイを作製した。しかしながら,実際の光素子への応用展開を見据えた場合,凸レンズだけでは補正できない収差や高度な光学系構築の観点から,凹型マイクロレンズの開発は急務である。 本研究では光で効率よく配向変化できる様々なπ共役系色素を合成し,一光束照射という簡便な手法で平板凹型液晶マイクロレンズを作製することを目的とする。 液晶でレンズを形成させるには,屈折率分布をレンズの中心から端に向かって屈折率の勾配を制御することが必要である。このため,凹レンズの場合は,中心側は屈折率が小さく端が大きく制御しなければならない。しかしながら,このような光配向変化を誘起できる色素の分子の設計指針は皆無である。そこで,いくつかの色素の分子短軸方向に誘電性が高い分子を合成し,液晶中における光配向変化挙動について検討を行った。オキサジアゾール骨格およびピリジル骨格を含む色素をドープして光照射を行い,これまでの凸レンズを形成できるチオフェン骨格を有する分子と比較した。光照射によって,いずれの色素も配向変化を誘起することができた。特に,色素として屈曲した構造を用いると液晶の光応答性が格段に向上した。しかしながら,いずれも凸レンズとして機能することが明らかとなった。これは,ホスト液晶によるトルクの発生が大きくなるためと考えている。したがって,色素単独で液晶を形成する化合物の開発が必要であることがわかった。
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