2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲル状導電性高分子の基礎物性と薄膜配向制御に関する基礎研究
Project/Area Number |
19750161
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梶井 博武 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (00324814)
|
Keywords | 導電性高分子 / ゲル / フルオレン / 有機EL / 偏光 / 熱転写法 |
Research Abstract |
本研究では、積極的に高分子をある種の溶媒に溶解させることで徐々に流動性を失いゲル化する現象を利用してゲル状導電性高分子を作製し、それを加熱基板上へ溶融させ、熱転写する方法による薄膜形成と有機EL素子への応用に関して検討を行った。 青色発光材料のpoly(9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diy1)(PFO)を1,2,4-トリクロロベンゼンなどのある種の溶媒中に溶解させることで徐々に流動性を失いゲル化する現象を見出した。ベンゼン系の1,2,4-トリクロロベンゼン,2-クロロ-p-キシレン,o-ジクロロベンゼンの溶媒に依存せず、ゲル状PFOの吸収スペクトルのピーク波長は、438nmを示した。このピークは溶液状態では観測されず、溶液状態と比較して低エネルギーギャップを有するゲル状PFOの高分子鎖は、平面性や共役長が増大していると考えられる。すなわち、ゲル状PFOでは、PFOのポリマー鎖がβ相に対応する状態であることを示しており、FT-IRの光学特性からもポリマー鎖の挙動が裏付けられた。 熱転写法により、通常の溶液によるウェットプロセスと同様に、機能性ドーパントを含んだ高分子薄膜が作製可能であり、様々な発光色を有する有機EL素子の作製できることが明らかになった。熱転写法から作製したβ相を有する有機EL素子は高効率であることが明らかになった。三重項材料の低分子系赤色燐光材料であるイリジウム錯体をドープした素子から、ウェットプロセスと遜色ない発光特性が得られた。更に、PFOゲルを用いた熱転写法により偏光有機EL素子の作製に成功し、同じの高分子系フルオレン誘導体材料をドーパントとして含んだゲル状PFOを用いることで発光色可変の偏光性有機ELが作製できることを明らかにした。これは同じ骨格を有する高分子系フルオレン誘導体材料がPFOに沿って同様に分子配向したためと考えられる。
|