2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲル状導電性高分子の基礎物性と薄膜配向制御に関する基礎研究
Project/Area Number |
19750161
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梶井 博武 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (00324814)
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Keywords | 導電性高分子 / ゲル / フルオレン / 有機EL / 偏光 / 熱転写法 |
Research Abstract |
本研究では、積極的に高分子をある種の溶媒に溶解させ、徐々に流動性を失いゲル化する現象を利用して作製したゲル状導電性高分子とそれを用いた熱転写法による作製した薄膜の物性評価及び有機EL素子への応用に関して検討を行った。 フルオレン系材料は、有機発光素子の発光材料として積極的に研究がなされている。その中でも、ポリアルキルフルオレン(PFO)はアモルファス相やβ相などの薄膜相をもち、それぞれ異なる性質を示すことが知られている。今年度は、まず一般的なスピンコート法を用いて作製したアモルファス相薄膜と、スピンコート膜をトルエン雰囲気中に曝露するというトルエン雰囲気曝露法や、加熱基板上にゲル状高分子を塗布する新規作製法の熱転写法を用いて作製したβ相薄膜を、それぞれ素子の発光層に用いた場合の電気的・光学的素子特性の変化に関して検討を行った。トルエン雰囲気曝露法と熱転写法で作製したPFO薄膜の吸収スペクトルには、438nm付近に特有のピークが観測され、β相であることが確認された。また、ELスペクトルに関しても両素子からβ相に起因している発光が観測された。β相の素子はアモルファス相の素子の4〜5倍の電流効率が得られた。これは、β相の蛍光量子収率やホール移動度がアモルファス相に比べて高いために、キャリアバランスが改善され、再結合確率が向上し、それにより輝度や効率が向上したものと説明できる。更に、熱転写法で作製したβ相を有する素子は、応答速度においても、優れた応答性を示すことが明らかとなり、光リンク用素子への応用も検討した。また、規則性の高いチオフェン系材料を用いることで、溶媒中で会合体を形成しゲル状導電性高分子が作製でき、同様に熱転写法により薄膜作製が可能であることを見出した。更にゲル状アルキルフルオレンに圧力加えながら基板に熱転写する方法にて、圧力を加えない時に比べて、より偏光性の高い薄膜が作製できる可能性を見出した。
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Research Products
(15 results)