2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラダー状炭化水素系共役分子の開発と有機デバイスへの応用
Project/Area Number |
19750163
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮碕 栄吾 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 助教 (00432683)
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Keywords | 炭化水素分子 |
Research Abstract |
本年度は、メチル基が結合したナフタレンを基盤とするラダー状炭化水素分子(ナフタレンラダー分子)の結晶構造、物性の解明、ならびに有機薄膜デバイスへの応用を検討した。 (i) 単結晶X線構造解析 結晶構造を明らかにするために、単結晶X線構造解析を行った。トルエン溶液から自然濃縮を行うことにより得られたナフタレンラダー分子単結晶を用いて測定を行った。結晶中ではナフタレンラダー分子のメチル基は分子平面上に存在せず、分子の上下に張りだしていた。また、分子骨格はメチル基と水素原子間の立体反発の影響を受けて平面構造を取れず、ねじれた構造を取っていた。そのため、分子同士がサンドイッチ状には重なり合えずに、90度回転して十字型に積層していた。この構造はメチル基が無いナフタレンラダー分子のヘリングボーン構造と比べて大きく変化しており、その物性に興味が持たれた。 (ii) 有機薄膜の作製と有機電界効果トランジスタ素子への応用 このメチル基が結合したナフタレンラダー分子を有機電界効果トランジスタへと応用した。シリコン基板上にスピンコート法によりナフタレンラダー分子薄膜を作製した。この薄膜にソース・ドレイン電極として金を蒸着し、トップコンタクト型FET素子を作製した。FET素子の特性を評価したところ、電界効果がまったく観測されなかった。そこで、その原因が薄膜構造にあると考え、薄膜に関する知見を得るためにX線回折測定を行ったところ、回折ピークは観測されず、アモルファスであることが分かった。
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