2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子配向制御による有機TFTインバータ回路の低消費電力化
Project/Area Number |
19750164
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
永松 秀一 Kyushu Institute of Technology, 情報工学部, 助教 (70404093)
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Keywords | 有機半導体デバイス / 薄膜トランジスタ / 分子配向制御 / 異方性 / 摩擦転写法 |
Research Abstract |
本研究における積層配向膜の下層となる、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレンなどのp型半導体性を示すπ共役系導電性高分子について、平成19年度購入の摩擦転写装置(井元製作所・ホットメルト塗工機IMC-115A型)により薄膜を作製しその分子配向評価を光吸収スペクトル測定および放射光を線源とした微小角入射X線回折法により調査した。 ポリフェニレンビニレン誘導体において置換する側鎖構造により摩擦転写膜の膜質が大きく依存することを見出し、摩擦転写法において良質な配向薄膜を得るためには置換する側鎖に対称性が必要であることを明らかにした。これにより下層として用いる導電性高分子は対称構造を有する結晶性導電性高分子が好適であることがわかった。次にポリフルオレン誘導体について摩擦転写膜を作製し、その上部に同一材料を塗布プロセスにより成膜しポリフルオレン積層膜を作成した。ポリフルオレンは液晶性を有しておリポリイミドのラビング膜上などにおいて液晶配向することが知られている。作製したポリフルオレン積層膜を熱処理することで上層のポリフルオレンを液晶配向させることに成功し、下層の配向情報が液晶配向により上層の液晶分子に伝播することを明らかにした。これにより上層に用いるn型有機半導体分子には液晶性が必要であることがわかった。結晶性導電性高分子の中で比較的高い電荷移動度の示すポリチオフェン誘導体について、摩擦転写法によって高分子主鎖が配向し、さらに置換した側鎖によって分子面の配向をも制御することに成功した。これによりπ共役面あるいはアルキル末端を任意に下層表面に形成することが出来、上層とする液晶性n型有機半導体の分子構造にあった分子配向制御を行うことが出来る。また分子面の配向によるTFTへの面内電荷移動度の影響はまったくないことを確認した。
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Research Products
(3 results)