2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子配向制御による有機TFTインバータ回路の低消費電力化
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19750164
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
永松 秀一 Kyushu Institute of Technology, 大学院・情報工学研究院, 助教 (70404093)
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Keywords | 有機半導体デバイス / 薄膜トランジスタ / 分子配向制御 / 異方性 / 摩擦転写法 |
Research Abstract |
本研究における積層配向膜の下層としてポリブチルチオフェン(P3BT)配向膜をもちいた。P3BT配向膜TFTは分子主鎖方向とその直交方向では、その正孔移動度が20倍違いオン電流値も1桁以上差があることを確認した6また上層となるnチャネル材料としていくつかの代表的なn型有機半導体であるフラーレンやペリレンジイミド誘導体(PTCDI)についてそのTFT特性評価を行った。単膜でのTFTについて大気中ではTFT特性は観測されず、平成20年度購入備品であるミニチュア真空チャンバー内での真空雰囲気下においてTFT特性を観測できた。積層膜としてP3BT配向膜上部にPTCDIを真空蒸着しTFT特性を評価したところp・n両極性動作を確認した。しかしPTCD工は配向しておらず電極アライメントだけでは極性の選択は困難であった。 そこでP3BT配向膜上に液晶性n型有機半導体で配向膜を形成することを試みた。液晶性n型有機半導体は市販されておらず、先ず既知の液晶性p型有機半導体材料を用い積層配向およびTFT特性評価を行った。液晶性分子はP3BT配向膜上で配向していることを確認した。しかしTFT特性において大きな電流ヒステリシスを観測した。スイッチング回路であるトランジスタにおいて電流ヒステリシスは周波数特性の大きな問題となる。このヒステリシスは液晶分子の持つダイポールに起因すると考えられ、トランジスタ材料として大きなダイポールを持つ液晶分子は好適ではないことが示唆される新しい知見を得た。そこで直線状n型有機半導体材料をP3BT配向膜上に真空蒸着することで分子間相互作用によるエピタキシャル配向を試みた。しかしP3BTのブチル基により各分子間のπ電子相互作用が阻害され配向薄膜化は実現しなかった。下層に用いる導電性高分子には側鎖を持たないポリチオフェンを用いることによりこれらの問題は解消されると考えられる。
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Research Products
(2 results)