2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750169
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下嶋 敦 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (90424803)
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Keywords | ゼオライト / メソ多孔体 / 有機シラン / 自己組織化 / 両親媒性分子 |
Research Abstract |
ゼオライトは触媒、吸着剤、イオン交換剤として広く工業的に利用されている多孔質材料であるが、細孔径は通常1nm以下であり触媒として使用される場合に拡散性が問題となることがある。本研究では、ゼオライトナノ粒子間にメソ孔(直径2-50m)を形成させるための構造規定剤(Structure-directing agent)として、非イオン性界面活性剤のシリル化誘導体の利用について検討した。アルキルポリエチレンオキサイド(CnEOm)は代表的な非イオン性界面活性剤であり、安価であることに加えて低毒性、生分解性などの特徴がある。平成19年度はC16EO10を用い、末端のOH基にトリエトキシシリルプロピル基(-C_3H_6-Si(OEt)_3)を結合させた。合成の確認は1H,13C,29Si NMRで行った。ゼオライト前駆溶液の調製は、水酸化テトラプロピルアンモニウム、A1源、Si源を所定のモル比で混合した水溶液を、90℃で20時間撹拌して行った。この前駆体溶液に上記のシリル化誘導体を添加し撹拌した後、120℃で所定の時間水熱処理を行った。得られた沈殿をろ過、乾燥した後、焼成した。得られた生成物の粉末X線回折パターンにおいて、メソスケールの周期構造に由来するブロードなピークとゼオライト(ZSM-5)由来のピークが観測された。また、窒素吸脱着測定により、メソ孔とゼオライト由来のミクロ孔の存在が確認された。さらにTEM観察の結果、直径10nm程度のゼオライトナノ粒子が凝集し、その粒子間にメソ孔が形成されていることが確認できた。以上の結果から、アルミノシリケート前駆体が、非イオン性界面活性剤のシリル化誘導体とSi-O-Siで結合することによって自己集合した後、結晶化したと考えられる。
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