2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19750171
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
増井 敏行 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (00304006)
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Keywords | 環境調和型 / 黄色顔料 / 酸化セリウム / 酸化ビスマス / 複合酸化物 / バンドギヤツプ / 可視光吸収 / 混成軌道 |
Research Abstract |
従来用いられている黄色無機顔料には黄鉛(PbCrO_4)、カドミウムイエロー(CdS)、ニッケルチタンイエロー(TiO_2-NiO-Sb_2O_3)、バナジン酸ビスマス(BiVO_4)などがあるが、これらは有害な元素を含んでいるため、無害な元素のみからなる代替顔料の開発が求められている。本研究では、一般塗料やトラフィック用塗料などで大きな需要がある黄色無機顔料について、鮮やかな色を示し、かつ有害元素を含まない新規な優環境型の黄色顔料の開発を目指した。基本的な設計指針としては、Ce_4f-O_2p軌道間の電荷移動吸収により淡黄色となるCeO_2-ZrO_2およびCeO_2-SiO_2複合酸化物を母体として選択し、その格子内にBi^3+を固溶させ、O_2p軌道とBi_6sの混成軌道を形成させることにより黄色の着色を強めることを目的とした。 CeO_2-ZrO_2-Bi_20_3複合酸化物については、Ce(NO_3)_3、ZrO(NO_3)_2、Bi(NO_3)_3、クエン酸の水溶液を化学量論比で混合後、溶媒を留去してゲル化させ、大気中1000℃で1時間焼成して試料を得た。一方CeO_2-SiO_2-Bi_2O_3複合酸化物については、Ce(NO_3)3、Bi(NO_3)_3の各水溶液とテトラエトキシシラン(TEOS)のエタノール溶液を化学量論比で混合後、アルカリ触媒によってゲル化させ、大気中750℃で1時間焼成し試料とした。 合成した各複合酸化物の色座標を調べたところ、本研究で合成した試料はいずれも良好な色彩を呈しており、最大の黄色度を示したCe_<0.35>Si_<0.33>Bi_<0.32>O_<1.84>は市販品プラセオジム黄よりも大きな黄色度を示した。Ce_<0.35>Si_<0.33>Bi_<0.32>O_<1.84>の可視光吸収領域は他の顔料と比べてより長波長側にまで及んでいるため、黄色の補色である青色光をより効果的に吸収できる。その結果、市販品を超える大きな黄色度が得られたと考えられる。
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Research Products
(5 results)